文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/15
どんな本?(結論は伏せて)
AIは東大に合格できるのか。数学者の著者は、この問いを掲げた研究プロジェクト「東ロボくん」を率い、AIに大学入試の模試を解かせてきました。本書はその挑戦から見えたAIの実力と限界を、研究の内側から語ります。
ところが話はそこで終わりません。AIがつまずいた問題を調べるうちに、著者は人間の側、とくに中高生の「読む力」に目を向けることになります。全国の生徒を対象にした読解力の調査から何が見えたのか。AIの話のはずが、いつのまにか私たち自身の話になっていく一冊です。
こんな人に
AIに仕事を奪われるのではと漠然と不安な人、子どもの教育で何を大事にすべきか迷っている親や教師に。資料やメールが「読まれていない」と感じることの多いビジネスパーソンが、読む力という土台を見直すきっかけにもなります。
要点
- 東ロボくんは模試でMARCHクラスに届いたが、問題の意味を理解して解いてはいない。AIの強さと限界は、同じ仕組みの表と裏だと著者は説く。
- いまのAIは計算・論理・確率で動いており、意味を理解する仕組みではない。だから人間の知能を超えるシンギュラリティは来ないと、数学者として否定する。
- 全国約2万5000人へのリーディングスキルテストで、教科書の基本的な文を正しく読めない中高生が少なくないことがわかった。
- 怖いのはAIが人を超えることより、AIにできない仕事をする力を持つ人が足りなくなること。意味を読み取る力を育てる教育が鍵になる。
ここから先は、本の結論と主な主張まで書いています。読む前に中身を確かめたい人や、読み終えて振り返りたい人向けです。
第1章では、東ロボくんの成績が紹介されます。AIは東大には届かなかったものの、模試では有名私立大学(いわゆるMARCHクラス)に合格できる水準まで伸びました。しかし著者は、AIは問題の意味を理解して解いているわけではなく、統計や検索で答えらしいものを選んでいるにすぎないと強調します。
第2章では、AIが人間の知能を超える「シンギュラリティ」が近いという説を、数学者として退けます。いまのコンピュータは計算と論理と確率・統計で動いており、意味を理解する仕組みではないからです。
第3章が本書の山場です。著者らは、教科書や新聞の文章をもとに、係り受けや照応、二つの文が同じ意味かの判定などを問う「リーディングスキルテスト」を作り、全国約2万5000人の生徒に実施しました。その結果、基本的な文の意味を正しく読み取れない中高生が少なくないことがわかります。
第4章では最悪のシナリオが描かれます。AIに置き換えられる仕事が増える一方、AIにできない仕事に必要な力を持つ人が足りず、失業と人手不足が同時に起きるおそれがある、と著者は警告します。結論は、AIと共存する社会で人に求められるのは、意味を理解して読み、考える力であり、それを育てる教育を立て直すことだ、というものです。
読んだあとに考えたいこと
- 自分は、仕事の文書や契約書を「意味がわかるまで」読めているだろうか。
- いまの仕事のうち、意味の理解が欠かせない部分はどこだろうか。
- 生成AIの答えをうのみにせず確かめるために、自分にどんな力が要るだろうか。
読むときのコツ
第3章のテスト例題は、自分でも解いてから読むと実感がわきます。2018年刊で、その後の生成AIは文章読解や入試問題でも高い成績を見せるようになりました。一方で著者は、生成AIも意味を理解しているわけではなく、使う側に読解力がいっそう必要だと発言しています。
次に読むなら
AIの歴史と技術の基本をもう少し整理したいなら、松尾豊『人工知能は人間を超えるか』へ。データを正しく読み取る力という点では、世界の数字の読み違いを扱う『FACTFULNESS』もあわせて読むと、「読む力」の幅が広がります。
読んだ人の感想
読みこみ中…
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あらすじ・要約などの文章は AI(Claude)が書いたもので、内容や主張、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。読了時間・難しさもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。
