- 読了時間の目安 推定
- 約9時間約330,000字(5時間〜)
- 難しさ
- 標準ふだん本を読む人なら無理なく読める
- ページ数
- 552ページ
- 出版社
- ダイヤモンド社2023年2月
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文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/15
どんな本?(結論は伏せて)
スマートフォンも自動車もミサイルも、小さな半導体チップなしには動きません。本書は、この部品がどのように生まれ、なぜ石油に並ぶ、あるいはそれ以上の戦略物資になったのかを、国際関係史の研究者が描いたノンフィクションです。
舞台はアメリカの研究所から始まり、冷戦、日本の台頭、台湾や韓国、オランダ、そして中国へと広がっていきます。技術者や経営者、政治家の決断を追いながら、半導体の供給網がいまの形になった経緯をたどります。世界の力関係を一つの部品から読み解く、スケールの大きな一冊です。原書は英フィナンシャル・タイムズの年間ビジネス書に選ばれました。
こんな人に
ニュースで聞く半導体不足や米中対立、台湾をめぐる緊張の背景を、歴史からつかみたい人に。製造業やIT業界で働く人、投資の観点から半導体産業を理解したい人、日本の産業政策の過去と今を考えたい人にもすすめられます。
要点
- 半導体は冷戦期の軍事・宇宙開発の需要の中で育った。技術の歴史は、最初から安全保障の歴史と結びついていた。
- 1980年代の日本のメモリでの躍進と日米摩擦、その後のアメリカの巻き返しは、産業の主導権がいかに移りやすいかを示している。
- TSMCやASMLのように、最先端の製造や装置は少数の企業と地域に集中している。分業が進むほど、どこか一か所の停止が世界全体に響く。
- アメリカは技術や装置の輸出規制で、半導体の流れそのものを武器として使い始めた。中国の自国生産の追求と合わせ、供給網が米中対立の最前線になっている。
ここから先は、本の結論と主な主張まで書いています。読む前に中身を確かめたい人や、読み終えて振り返りたい人向けです。
物語は、アメリカのベル研究所でのトランジスタの発明と、フェアチャイルドやテキサス・インスツルメンツでの集積回路の誕生から始まります。初期の大口の買い手は、ミサイルや宇宙開発を進める米国の軍と政府でした。チップは冷戦の中で育った技術だったのです。
1980年代には日本企業がメモリ(DRAM)で世界を席巻し、アメリカは安全保障の危機として受け止めて激しい貿易摩擦が起きます。アメリカはインテルがマイクロプロセッサに舵を切るなどして巻き返しました。
その後、製造は国境を越えて分業化します。台湾ではモリス・チャンが設計をせず製造だけを請け負うTSMCを立ち上げ、やがて最先端チップの製造を担う存在になります。最先端の製造に欠かせないEUV露光装置はオランダのASMLが手がけるなど、供給網の要所は少数の企業と地域に集中していきました。
後半は中国の挑戦です。中国は石油以上の金額を半導体の輸入に費やしており、自国生産を急ぎます。これに対しアメリカはファーウェイなどへの規制で、技術の流れそのものを武器として使い始めます。結論として著者は、半導体の供給網が台湾など一部に極端に集中していることが、米中対立の時代における世界経済と安全保障の最大の弱点の一つだと示します。
読んだあとに考えたいこと
- 自分の仕事や生活は、どの国のどんな部品にどれくらい頼っているだろうか。
- 日本の半導体産業が1980年代に強かったのに主導権を失ったのはなぜか。自分の業界にも同じ構図はないか。
- 効率を求めて分業を進めることと、もしものときの備えを、どう両立させるべきだろうか。
読むときのコツ
八部構成で、時代順に読めます。日本の読者は第3部「日本の台頭」から読んでも引きこまれます。人物と企業名が多いので、気になった所で章を区切って読むのがおすすめ。原書は2022年刊で、その後の対中輸出規制の強化や、生成AI向けチップへの需要の高まりは扱っていません。
次に読むなら
技術がどう人の仕事や社会を変えていくのかに関心が広がったら、AIの歴史をたどる松尾豊『人工知能は人間を超えるか』へ。強かった企業がなぜ新しい技術に敗れるのかを理論から考えるなら、クリステンセン『イノベーションのジレンマ』があわせて読みたい一冊です。
読んだ人の感想
読みこみ中…
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あらすじ・要約などの文章は AI(Claude)が書いたもので、内容や主張、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。読了時間・難しさもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。
