英語の原書を読みはじめる|語数と難しさの目安
文:ブックリンカー編集部 / 公開:2026/10/14
X でシェア英語の本を1冊読みとおしてみたい。そう思って洋書を買ってみたものの、数ページで辞書を引く手が止まらなくなり、そのまま本棚に眠っている。英語の原書は、最初の1冊の選び方でつまずく人がとても多い分野です。
つまずきの多くは、英語力そのものより、本の長さと難しさが自分に合っていないことから起きます。この記事では、当サイトが英語の本の読了時間を見積もるときの語数の考え方をもとに、最初の1冊の選び方と、日本語版を上手に使った読み方を、サイトに載っている5冊の原書を例に紹介します。
最初の1冊は、日本語で知っている本から
原書デビューにいちばん向いているのは、すでに日本語で読んだことがある本、あるいは内容をおおまかに知っている本です。話の筋や主張がわかっていれば、知らない単語が出てきても前後から意味を推し量れますし、「いま何の話をしているのか」がわからなくなる不安がありません。
その代表が、パウロ・コエーリョの『The Alchemist』です。羊飼いの少年サンチャゴが、夢に見た宝を探してスペインからエジプトのピラミッドを目指す寓話で、日本語版『アルケミスト 夢を旅した少年』で読んだことがある人も多いでしょう。もとはポルトガル語で書かれた作品ですが、英訳版は文が短く、語彙も基本的なものが中心で、大人の英語学習者が最初に読みとおす洋書として定番になっています。
語数から読了時間を見積もる
当サイトでは、英語の本の読了時間を1分あたり250語として計算しています。語数は出版社が公表していないことが多いため、ページ数と判型から推定した概算です。この速さで計算すると、当サイトの原書5冊はおおよそ次のようになります。
250語/分という速さは、英語を読み慣れた人を想定した目安です。読み始めのうちは、この目安の1.5〜2倍の時間がかかってもまったく問題ありません。最初は時間を気にするより、自分がどれくらいのペースで読めるかを一度測ってみることをおすすめします。1冊を読み終えたときに、目安の何倍かかったかがわかれば、次の本の見積もりにそのまま使えます。
- The Alchemist:約4万語。目安は2時間40分ほど
- The Psychology of Money:約5.5万語。目安は3時間40分ほど
- Atomic Habits:約5.5万語。目安は3時間40分ほど
- Deep Work:約6.5万語。目安は4時間20分ほど
- Sapiens:約14万語。目安は9時間20分ほど
小説から入るか、ノンフィクションから入るか
小説の強みは、筋を追う楽しさが読み進める力になることです。先が気になれば、多少わからない単語があっても前に進めます。一方で、比喩や言葉遊び、作品独自の言い回しが出てくると、意味をつかみにくいことがあります。『The Alchemist』は寓話らしく同じ考えが言いかえながら何度も出てくるので、omen(前兆)や Personal Legend といった鍵になる語さえ押さえれば、筋を見失いにくい作品です。
ノンフィクション、とくに一般向けの実用書は、主張を何度もくり返し、章ごとにまとめを置くことが多いため、実は英語の初心者にも読みやすいジャンルです。『Atomic Habits』は一文が短く、各章の終わりに Chapter Summary があり、要点を確かめながら読めます。『The Psychology of Money』も英語は平易で、1章が短く、複利やインデックス・ファンドといったお金の用語も文脈でわかります。
ノンフィクションで気をつけたいのは、文体の硬さです。『Deep Work』は大学教員らしい論理的な文章で、『Atomic Habits』より一文が長く、抽象的な語彙もやや多めです。仕事に関心のあるテーマでも、最初の1冊にするより2冊目以降に回すほうが無理がありません。
当サイトの原書5冊を、読む順番の例で並べる
当サイトには、日本語版と対になった英語の原書が5冊あります。難しさの目安と長さを組み合わせると、次のような順番がひとつの例になります。どの本も日本語版のページとつながっているので、内容を確かめてから選べます。
一般向けの英語で書かれた本どうしでも、長さが倍になると読み終えるまでの根気はそれ以上に必要になります。最後の『Sapiens』は英語自体はユーモアもあって読みやすい部類ですが、14万語という長さがあるので、章ごとに話題が区切れることを生かして、興味のある章から読むのも一つの方法です。
- 1冊目:The Alchemist(難しさ:入門、〜3時間)。短く平易な寓話で、読みきる手応えをつかむ
- 2冊目:The Psychology of Money(入門、〜5時間)。1章が短く、少しずつ進められる
- 3冊目:Atomic Habits(標準、〜5時間)。章末のまとめで要点を確かめながら読む
- 4冊目:Deep Work(標準、〜5時間)。硬めの文章に慣れる。実践編の Part 2 から読んでもよい
- 5冊目:Sapiens(標準、5時間〜)。長い本に挑む。日本語版と並べて章ごとに読む
日本語版を横に置いて読む
原書を読むとき、日本語版を使うのは「ずる」ではありません。むしろ、最後まで読みとおすための心強い味方です。使い方はいくつかあり、自分の英語の慣れ具合に合わせて選べます。
いちばん負担が少ないのは、日本語版を先に読み終えてから原書に進む方法です。内容がわかっているので、英語の表現そのものを味わう余裕が生まれます。少し慣れてきたら、章ごとに英語で読んで、わからなかった段落だけ日本語版で確かめる方法に移ります。さらに慣れたら、日本語版は手元に置くだけにして、どうしても意味が取れない箇所だけ開くようにします。
対になった2冊を読み比べると、訳し方の違いにも気づきます。たとえば『Atomic Habits』の四つの法則は、原書では obvious・attractive・easy・satisfying ですが、日本語版『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』では「はっきりさせる」「魅力的にする」「易しくする」「満足できるものにする」と訳されています。こうした対応を見つけるのも、両方を読む楽しみの一つです。
- 日本語版を先に読み、内容を知ったうえで原書を読む
- 原書を章ごとに読み、わからない段落だけ日本語版で確かめる
- 日本語版は手元に置くだけにし、行き詰まったときだけ開く
辞書は引きすぎず、毎日の量を決める
原書を読み始めた人が挫折しやすい理由の一つが、辞書の引きすぎです。知らない単語をすべて調べていると、1ページに何分もかかり、話の流れも頭から抜けてしまいます。辞書を引くのは、何度も出てくる語と、わからないと文全体の意味が取れない語だけに絞り、それ以外は前後から推し量って先へ進むほうが、結果として理解が深まることが多くあります。
もう一つのこつは、1日に読む量を時間で決めることです。たとえば1日20分と決めて、目安の速さで読めれば5,000語ほど進みます。4万語の『The Alchemist』なら、8日ほどで読み終わる計算です。実際にはもっとゆっくりでもかまいません。2週間かけて1冊を読みとおせたら、それは大きな手応えになります。
当サイトの原書のページには、日本語の紹介に加えて英語での紹介文も載せています。英語の紹介文を読んでみて、すらすら読めるようなら、その本の英語は自分に合っている可能性が高いと考えられます。読み終えたら、要点や読んだあとに考えたいことで、内容を日本語でも振り返ってみてください。
よくある質問
- Q. 英語の原書を読むには、どれくらいの英語力が必要ですか。
- A. 当サイトでは英語力の基準は設けていませんが、『The Alchemist』のように文が短く語彙もやさしい本なら、学校で習った英語を思い出しながら辞書を少し引けば読み進められる人も多いはずです。まず英語の紹介文や本の最初の数ページを読んでみて、半分以上意味が取れるなら挑戦してみる価値があります。
- Q. 日本語版を先に読むと、原書を読む楽しみが減りませんか。
- A. 物語の結末を知っていても、英語で読むと言葉のリズムや表現の違いを新しく味わえます。ノンフィクションなら、内容を知っているほうが英語に集中できます。結末を知らずに読みたい小説なら、日本語版は先に読まず、わからない段落を確かめるときだけ使う方法もあります。
- Q. 途中で読めなくなったら、どうすればいいですか。
- A. 無理に続けず、いったん日本語版に切りかえて先を読んでしまうのも一つの方法です。内容がわかったうえで原書に戻ると、止まっていた箇所が読めるようになることがあります。また、本そのものが長すぎたり文体が硬すぎたりした可能性もあるので、より短くやさしい本に戻ってから再挑戦してもかまいません。






