文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/14
どんな物語?(ネタバレなし)
英文学者の外山滋比古が、ものを考えるとはどういうことかを、自分の経験をもとに語った随筆集です。教わったことを覚えるのは得意でも、自分で問いを立てて考えるのは苦手。そんな人に向けて、アイデアの生まれ方、情報やメモの扱い方、忘れることの意味、書くことと話すことの効用などを、30あまりの短い文章でつづっていきます。
1983年に単行本が出て、1986年の文庫化から読み継がれてきたロングセラーです。2024年の新版では文字が大きくなり、2009年に東京大学で行われた講演の記録が初めて収められました。
こんな人に
指示された仕事はこなせるのに、企画やアイデアを求められると手が止まってしまう人に。レポートや論文を書きはじめた大学生や、情報を集めすぎてかえって考えがまとまらない社会人にも。考えるための方法を、堅苦しくない随筆の形で読みたい人に向いています。
読みどころ
- 冒頭の「グライダー」と「飛行機」のたとえは、教わる勉強と自分で考える勉強の違いを一言で言い当てている。学校の成績はよかったのに、という人ほど身につまされる。
- 考えは無理に急がず「寝させる」と熟してくる、という指摘は、大事な判断の前に一晩置くといった日々の工夫にそのまま生かせる。
- 知識はため込むほどよいのではなく、忘れること、捨てることが頭を整理し、新しい考えの入る余地をつくる。記憶を機械が担う時代に、いっそう説得力を増している。
- 一編が数ページの短い文章で、どこから読んでも完結している。メモの取り方やノートの見返し方など、今日から試せる具体的な方法が多いのも魅力。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、結末を知ってから読みたい人向けです。
本書はまず、先生と教科書に引っぱられて飛ぶ「グライダー」と、自力で飛べる「飛行機」をくらべるところから始まります。学校は従順なグライダーを育てるのは得意でも、自分で飛ぶ力は育てにくい。ではどうすれば飛べるようになるのか、というのが全体を通した問いです。
考えを生むには、材料を集めたら頭のなかでしばらく「寝させ」、発酵するのを待つことが大切だと著者は言います。考えごとには頭のすっきりした朝の時間が向いていること、ひとつのテーマにこだわりすぎず、いくつかの考えを組み合わせたり、たとえ(アナロジー)を使ったりすること、思いがけない発見(セレンディピティ)を大事にすることも語られます。情報はスクラップやカード、手帖とノートに書きとめ、それを見返して一段上の「メタ・ノート」にまとめていく方法も紹介されます。
後半では、知識をため込むより、忘れること、捨てることで頭を整理する大切さが説かれます。考えがまとまらないときはとにかく書いてみる、人に話してみる、垣根を越えて別の分野の人と語り合う、といった具体的な助言が続き、最後は、知識を覚えて再生するだけなら人間はコンピューターにかなわない、という問題提起で結ばれます。新版に加わった講演録では、その問いを東大生に向けて語りなおしています。
読んだあとに考えたいこと
- 自分の仕事や勉強のうち、「グライダー」として飛んでいる部分と、自力で飛んでいる部分はどれくらいだろう。
- 最近、答えを急ぎすぎて、考えを寝かせる時間をとらなかったことはないだろうか。
- 調べればすぐに分かる時代に、自分が覚えておくべきこと、忘れてよいことは何だろう。
読むときのコツ
30あまりの短い章でできていて、1編が数ページなので、通勤電車や寝る前の数分で少しずつ読めます。目次を眺めて気になった章から読んでもかまいません。40年以上前の本なので、カードやスクラップなど道具立てには古さもありますが、メモアプリに置きかえて読めば十分に通じます。
次に読むなら
同じ著者の『忘却の整理学』は、本書の「忘れる」「捨てる」の話を一冊かけて掘り下げています。考えたことをどう問いに絞り込み、仕事の成果につなげるかまで進みたいなら、安宅和人『イシューからはじめよ』が、より実務寄りのステップアップになります。
読んだ人の感想
読みこみ中…
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あらすじ・要約などの文章は AI(Claude)が書いたもので、内容や主張、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。読了時間・難しさもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。




