文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/15
どんな本?(結論は伏せて)
1962年、大学院を出たばかりの24歳のフィル・ナイトは、ひとつの「ばかげたアイデア」を胸に日本へ向かいます。品質のよい日本製の運動靴を、アメリカで売れないだろうか。父親に借りたお金で旅に出た青年は、神戸の靴メーカー、オニツカを訪ね、その場で思いついた会社名を名乗って商談に臨みます。
ナイキの創業者が、創業から株式公開までの日々を一人称で振り返った自伝です。恩師の陸上コーチをはじめとする個性的な仲間たち、尽きない資金繰りの悩み、日本の会社との駆け引き。ビジネス書というより、冒険物語のように読める一冊です。
こんな人に
起業に興味がある人、小さな会社や新規事業を率いている人に。ビジネス書は苦手でも物語なら読めるという人にもすすめやすい一冊です。資金繰りや取引先との対立など、思うようにいかない日々の中で、仲間と前に進むための元気をもらえます。ナイキや陸上競技が好きな人にも。
要点
- 24歳の青年が日本の靴を売る小さな輸入会社を始め、資金繰りや取引先との対立に追われながらナイキを築くまでを、失敗も含めて一人称で率直に描く。
- 会社は伸びるほどお金が足りなくなる。銀行との攻防や日商岩井の支えなど、成長期の会社の資金繰りの厳しさが、生々しい実例として伝わる。
- オニツカとの関係が崩れたとき、独自ブランドを立ち上げて生き延びる。一つの取引先に頼りきる事業の危うさと、自前の商品をもつ意味が見えてくる。
- 会社を支えたのは、癖の強い仲間たちとのつながりだった。成功の裏にある家族への悔いまで語られ、働くことの意味を考えさせられる。
ここから先は、本の結論と主な主張まで書いています。読む前に中身を確かめたい人や、読み終えて振り返りたい人向けです。
ナイトはオニツカから米国西部での販売権を得て、ブルーリボンという会社を始めます。最初は車のトランクに靴を積んで売り歩く商売でしたが、恩師の陸上コーチ、ビル・バウワーマンが共同経営者となって靴の改良に知恵を出し、最初の社員ジェフ・ジョンソンら熱心な仲間も加わって、売上は伸びていきます。ナイトは大学で教えるなど別の仕事も続けながら会社を回し、そこで出会ったペニーと結婚します。
しかし伸びるほどに資金が足りなくなり、銀行との関係はたびたび行き詰まります。やがてオニツカがブルーリボンを切り捨て、別の販売会社に乗り換えようとしていることがわかります。ナイトは独自ブランド「ナイキ」を立ち上げ、日商岩井の支えも得て、1972年に自前の靴で再出発します。オニツカとの裁判には勝ちました。その後も、輸入関税として2500万ドルを請求される危機に見舞われますが、政治の場にも働きかけて戦い、900万ドルで決着させます。そして1980年12月、ナイキは株式を公開します。
最後の章では、時を経て世界最大のスポーツブランドとなった会社を振り返りつつ、長男マシューを亡くした悲しみと、息子との関係をめぐる悔いが率直に語られます。それでもナイトは、仲間と夢中で走り続けた日々を肯定し、自分にはまだやることがあると結びます。
読んだあとに考えたいこと
- 自分にとっての「ばかげたアイデア」は何だろうか。それを試さずにいる理由は何か。
- 仕事に夢中になることと、家族や身近な人との時間を、自分はどう釣り合わせているか。
- 一つの取引先や会社に頼りきっている部分は、自分の仕事のどこにあるだろうか。
読むときのコツ
1962年から1980年まで、年ごとの章で時系列に進むので、小説のように頭から読めます。厚い本ですが、ユーモアのある一人称の語りで読み進めやすい文章です。経営や会計の知識はなくても大丈夫。日本の商社や靴メーカーが重要な役で出てくるのも読みどころです。
次に読むなら
起業家の苦闘を、物語ではなく教訓の形で読みたくなったら『HARD THINGS』へ。資金難や解雇といった判断に、経営者がどう向き合うかが具体的に書かれています。長く続く会社に何が共通するのかを調査から考えるなら『ビジョナリー・カンパニー』も。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじ・要約などの文章は AI(Claude)が書いたもので、内容や主張、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。読了時間・難しさもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





