文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/15
どんな本?(結論は伏せて)
電気自動車、宇宙ロケット、太陽光発電。いくつもの業界をまとめて塗り替えようとする起業家イーロン・マスクは、どんな少年時代を送り、どうやってここまで来たのか。本書はアメリカのテクノロジー記者が、本人への長時間の取材と、家族や元社員など周囲の多くの人の証言をもとに描いた評伝です。
南アフリカで過ごした子ども時代から、最初の起業、決済サービスの成功、そしてロケットと電気自動車という無謀に見える挑戦へと、時間を追って話が進みます。英雄としてだけでなく、周囲とぶつかる厳しい経営者の顔も描かれ、成功の裏側をのぞきたくなる一冊です。
こんな人に
大きな目標を掲げて事業を起こす人の頭の中をのぞいてみたい人、起業や新規事業に関わる人、ロケットや電気自動車の産業がどう立ち上がったかに興味がある人に。資金が尽きかけても挑戦を続ける覚悟と、その代償の両方を知りたい人に向きます。
要点
- 南アフリカでの孤独な少年時代から、Zip2、PayPal、スペースX、テスラ、ソーラーシティへと続く歩みを、本人と多くの関係者の証言から立体的にたどれる。
- 2000年代後半、ロケットの打ち上げ失敗と電気自動車の開発の遅れが重なり、両社が倒産の瀬戸際に立った時期の決断が本書の山場になっている。
- 電気自動車、太陽光発電、宇宙開発は、持続可能なエネルギーと人類の火星移住という一つの構想でつながっている、と著者は読み解く。
- 社員に極端な働き方を求め、容赦なく人を切る厳しさも描かれ、圧倒的な成果と人間関係の摩擦が表裏一体であることが見えてくる。
ここから先は、本の結論と主な主張まで書いています。読む前に中身を確かめたい人や、読み終えて振り返りたい人向けです。
マスクは南アフリカで育ち、本とSFに没頭する一方、学校ではひどいいじめを受け、父親との関係にも苦しみます。17歳で国を出てカナダに渡り、アメリカの大学で物理学と経済学を学んだのち、大学院に進んですぐに中退して起業の道を選びます。
弟と始めたネット企業Zip2を売却して得た資金で、オンライン決済の会社を立ち上げ、のちのPayPalへとつながります。社内対立で経営トップの座を追われますが、売却で大金を手にし、その多くを宇宙ロケットのスペースXと、電気自動車のテスラにつぎ込みます。
本書の山場は2000年代後半の危機です。ロケットは打ち上げ失敗が続き、テスラは最初の車の開発が遅れて資金が尽きかけ、私生活でも離婚が重なります。それでもマスクは残った資金を両社に投じ、ロケットの打ち上げ成功と、ぎりぎりの資金調達や大口契約によって、両社は倒産の瀬戸際から生き延びます。
その後、テスラは高級セダンで評価を高めますが、そこでも資金の苦境があったと著者は書きます。いとこたちが経営する太陽光発電のソーラーシティも含め、各事業はばらばらではなく、持続可能なエネルギーと人類の火星移住という一つの大きな構想でつながっている、というのが著者の見立てです。同時に、社員に過酷な働き方を求め、期待に届かない人を容赦なく切る一面もはっきり描き、天才か暴君かの判断は読者にゆだねます。
読んだあとに考えたいこと
- 自分の仕事の先に、どれくらい大きな目的を思い描いているだろうか。
- 全財産を賭けるような勝負に出る決断は、どこまでが覚悟でどこからが無謀だろうか。
- 高い目標を掲げるリーダーのもとで、自分ならどう働きたいと思うだろうか。
読むときのコツ
時系列に沿った評伝で、技術の細かい説明は少なく、ビジネス書を読み慣れていない人でも物語として読めます。2015年の刊行なので、その後のマスクの動きは含まれません。マスク本人や関係者が内容の一部に異を唱えた逸話もあり、取材にもとづく一つの見方として読むのがよいでしょう。
次に読むなら
PayPal時代にマスクと同じ場所にいたピーター・ティールの起業論『ゼロ・トゥ・ワン』で、独占と未来をめぐる発想を比べてみるのがおすすめです。創業者が自分の言葉で苦闘を語る評伝なら、ナイキ創業者の『SHOE DOG』も読み比べがいがあります。
運営者の書評
この本は、運営者(山野 健太)が読んで個人ブログに書評を書いています。上の要約・要点はブックリンカー編集部が別に書いたものです。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじ・要約などの文章は AI(Claude)が書いたもので、内容や主張、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。読了時間・難しさもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





