文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/14
どんな本?(結論は伏せて)
昭和のはじまりから敗戦までのおよそ20年を、作家の半藤一利が教室で語りかけるような口調でたどる通史です。授業形式の語り下ろしで、年号や人名を覚えさせる教科書とは違い、当事者が何を考え、どこで判断を誤ったのかを、エピソードを交えて追っていきます。
張作霖爆殺事件から満洲事変、二・二六事件、日中戦争、ノモンハン事件、三国同盟、開戦、そして終戦まで。大事件の前には必ず小さな出来事が積み重なっている、という視点で読むと、歴史がひと続きの流れとして見えてきます。2025年の新版で、解説と詳しい索引が加わりました。
こんな人に
学校で習った近現代史が年号の暗記で終わってしまい、日本がなぜ戦争に向かったのかを流れとしてつかみ直したい人に。「戦前に似てきた」といった言葉を耳にして引っかかった人や、組織が誤った判断を重ねていく過程に関心のある人にも向きます。
要点
- 張作霖爆殺事件や満洲事変で軍の独断が追認されたことが、のちの暴走の前例になった。大事件の前には小さな事件があり、そこで止められるかが分かれ道だと著者は示す。
- 満洲事変から開戦まで、新聞は戦争をあおり、国民もそれに熱狂した。政府や軍だけでなく、世論の熱が引き返す道を狭めていった過程が描かれる。
- ノモンハンでの大敗は、火力や技術の差という本当の原因を十分に検証されないまま総括された。失敗から学ばない組織の姿は、その後の太平洋戦争にもつながっていく。
- むすびの五つの教訓(熱狂をつくらない、観念論に流れない、タコツボ型エリート集団の弊害、国際的常識の欠如、場当たり的な発想)は、いまの組織や社会にもそのまま当てはまる。
ここから先は、本の結論と主な主張まで書いています。読む前に中身を確かめたい人や、読み終えて振り返りたい人向けです。
本書は、昭和史の根っこには日露戦争で手に入れた満洲の権益がある、という話から始まります。1928年の張作霖爆殺事件では首謀者が厳しく裁かれず、それが前例となって、1931年の満洲事変では関東軍の謀略を政府も新聞も国民も追認していきます。満洲国をめぐって国際連盟を脱退した日本は孤立を深め、二・二六事件を経て軍の発言力はさらに強まりました。
日中戦争は短期で終わるという見通しが外れて長期化し、ノモンハンでソ連軍に大敗しても、その本当の原因は検証されませんでした。ヨーロッパでドイツが快進撃を続けると、慎重だった海軍まで三国同盟に賛成し、南進論が勢いを増します。四度の御前会議を経て開戦が決まり、緒戦の勝利は早くも逆転、敗色が濃くなっても終戦の決断は遅れ、原爆投下とソ連参戦ののちにポツダム宣言の受諾に至ります。
むすびの章で著者は、約310万人の死者から引き出すべき教訓を五つにまとめます。国民的な熱狂をつくってはいけないこと、危機のときほど抽象的な観念論に流れず現実的に考えること、小さなエリート集団が閉じた世界で物事を決める「タコツボ」型組織の弊害、国際的な常識の欠如、そして目先の成果を求める場当たり的な発想をいましめ、長い目で物事を見ること、です。
読んだあとに考えたいこと
- 周りが一斉に同じ方向へ盛り上がっているとき、自分は立ち止まって考えられるだろうか。
- 自分の組織で見過ごした「小さな事件」が、のちに大きな問題になった経験はないか。
- 外から見たら非常識なのに、内側では当たり前になっている決め方はないだろうか。
読むときのコツ
語り口調なので、560ページを超える厚さのわりに読み進めやすい本です。章ごとに一つの時期がまとまっているので1日1章がちょうどよく、巻末の関連年表を開きながら読むと流れを見失いません。戦後の歩みは姉妹編の『昭和史 戦後篇』に続きます。
次に読むなら
同じ時代を、政治や軍の動きではなく庶民の暮らしや世相の側から見たいなら、姉妹編の『B面昭和史 1926-1945』があります。日本軍の敗因を組織論の視点で分析した『失敗の本質』を続けて読むと、本書でたどった作戦の失敗が、なぜ同じ形でくり返されたのかが見えてきます。戦後については『昭和史 戦後篇 1945-1989』へ。
読んだ人の感想
読みこみ中…
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あらすじ・要約などの文章は AI(Claude)が書いたもので、内容や主張、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。読了時間・難しさもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。
