文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/15
どんな本?(結論は伏せて)
すぐれた戦略は、分析の図表や施策の一覧ではなく、思わず人に話したくなるような筋の通った「ストーリー」になっている。一橋大学で競争戦略を研究する楠木建が、この視点から、長く利益を上げ続ける会社の戦略の論理を解き明かした本です。
競争戦略の基本をおさらいしたうえで、マブチモーター、サウスウエスト航空、スターバックス、アマゾン、ガリバーなど、国内外の企業の戦略を読み解きながら、個々の打ち手がどうつながると強い戦略になるのかを語ります。500ページを超える厚さですが、くだけた語り口で最後まで読ませる本です。
こんな人に
事業の戦略や企画を考える立場の人、中期計画や事業計画づくりに関わる人に。施策を並べた計画書は書けるのに、全体として何が強みなのかを言葉にできないと感じている人が、戦略を筋道で考える物差しを得られます。経営学の予備知識はなくても読めます。
要点
- 戦略の本質は「違いをつくって、つなげる」こと。個々の打ち手のよしあしより、打ち手どうしがなぜつながるのかという因果の筋道が、長く続く利益を生む。
- 戦略ストーリーは、競争優位・コンセプト・構成要素・クリティカル・コア・一貫性の5Cで組み立てる。起点は「本当は誰に何を売っているのか」というコンセプト。
- クリティカル・コアは、単独では非合理に見えるがストーリー全体の要になる打ち手。競合がまねする気にならないことが、優位を長持ちさせる。
- 優れた戦略は、思わず人に話したくなるようなストーリーとして語れる。施策を並べた一覧だけでは、打ち手がなぜ効くのかは伝わらない。
ここから先は、本の結論と主な主張まで書いています。読む前に中身を確かめたい人や、読み終えて振り返りたい人向けです。
著者によれば、戦略の本質は「違いをつくって、つなげる」ことです。誰に、何を、どう提供するかで競合と違う打ち手を選び、それらを連動させて、全体として長く利益を生む仕組みにする。一つひとつの打ち手が静止画だとすれば、戦略はそれらがつながって流れる動画であり、大事なのは打ち手どうしが「なぜ」つながるのかという因果の筋道だ、と説きます。
戦略ストーリーは、競争優位、コンセプト、構成要素、クリティカル・コア、一貫性の五つ(5C)で組み立てられます。製品を標準化したマブチモーターや、拠点空港を経由せず小さな空港どうしを直行便で結んだサウスウエスト航空が、打ち手がかみ合って優位を築いた例として示されます。ストーリーの起点はコンセプトで、本当のところ誰に何を売っているのかを具体的に思い描くことが求められます。
本書の山場はクリティカル・コアです。それだけを取り出すと非合理に見えるのに、ストーリーの中に置くと全体の一貫性を支える中心の要素のことで、日本進出時のスターバックスがフランチャイズではなく直営店にこだわったことや、アマゾンが巨大な物流拠点と在庫を抱えたことが例に挙がります。一見非合理だからこそ競合はまねしようとせず、それが優位を長続きさせる、というのが著者の主張です。中古車買取のガリバーの戦略を丸ごと読み解いたあと、最終章では優れた戦略ストーリーを描くための心得が「骨法十ヵ条」としてまとめられます。
読んだあとに考えたいこと
- 自分の会社や部署の戦略を、打ち手どうしのつながりとして人に説明できるだろうか。
- 自分たちが本当のところ誰に何を売っているのか、ひと言で言えるか。
- 競合から見ると非合理だが、自分たちには筋が通っている打ち手はあるだろうか。
読むときのコツ
第2章で競争戦略の基本をひととおり押さえられるので、経営学の知識がなくても大丈夫です。中心は5Cとクリティカル・コアを扱う第3〜5章。第6章のガリバーの事例は、それまでの考え方を通しで当てはめる応用編です。語り口は軽妙ですが、500ページを超えるので時間はかかります。
次に読むなら
優良企業が正しい判断ゆえにつまずく仕組みを描いた『イノベーションのジレンマ』は、本書の「一見非合理」と裏表の関係にあり、あわせて読むと戦略の見方が立体的になります。長く続く企業の土台を調べた『ビジョナリー・カンパニー』もおすすめです。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじ・要約などの文章は AI(Claude)が書いたもので、内容や主張、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。読了時間・難しさもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。




