文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/03
どんなお話?(ネタバレなし)
語り手は「死神」。第二次世界大戦前夜の1939年、ドイツ。9歳の少女リーゼルは、里親のもとへ向かう列車の中で弟を亡くします。弟の埋葬の日、雪の中に落ちていた一冊の本をリーゼルはこっそり拾います。それが、彼女の最初の「本泥棒」でした。
ミュンヘン近くの町の貧しい通りで、アコーディオンを弾くやさしい養父ハンスと、口は悪いが情の深い養母ローザとの暮らしが始まります。まだ字の読めないリーゼルに、ハンスは夜ごと読み方を教えます。ことばの力を知っていく少女の、戦争のなかの物語です。
こんな子におすすめ
本を読むことが好きで、「ことばにはどんな力があるのか」を考えてみたい中高生に。戦争の悲惨さを描きながらも、リーゼルとルディのいたずらや、地下室でのマックスとの友情にはあたたかいユーモアがあります。歴史の授業で学ぶナチス時代を、ふつうの人々の暮らしから感じたい子に。
読みどころ
- 語り手の死神は、ときに皮肉まじりに、ときに人間への同情をこめて物語を語ります。先に結末の一部を明かしてしまう独特の語り方が、かえって読む人の胸を締めつけます。
- マックスが『我が闘争』のページを白く塗りつぶして描いた手作りの絵本が、物語の中に挿絵つきで収められています。憎しみの本が友情の本に変わる象徴的な場面です。
- リーゼルが盗む本は、どれも彼女の人生の節目と結びついています。1冊ずつの本がどう手に入り、何をもたらしたかを追うと、物語の骨組みが見えてきます。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
リーゼルは、隣に住むレモン色の髪の少年ルディと親友になり、いたずらや盗みをともにします。ナチスの焚書の日には、燃え残った本を盗み出し、それを町長夫人イルザに見られてしまいますが、イルザは彼女を自分の書斎に招き入れます。
ある夜、ユダヤ人の青年マックスが一家をたずねてきます。第一次大戦でハンスの命を救った戦友の息子でした。一家はマックスを地下室にかくまい、リーゼルとマックスは言葉と物語を通じて深い友情を結びます。マックスは、白く塗りつぶした『我が闘争』のページに、リーゼルへの絵本を描いて贈ります。
ハンスが、連行されていくユダヤ人の列の老人にパンを差し出したことで、一家は目をつけられ、マックスは家を出ていきます。のちにリーゼルは、収容所へ連行される人々の列のなかにマックスの姿を見つけます。ハンスは罰として戦地に送られ、けがをして戻ってきます。
イルザにもらったノートに、リーゼルは地下室で自分の物語を書きはじめます。その夜の空襲で通りは全滅し、ハンス、ローザ、ルディが亡くなります。地下室にいたリーゼルだけが生き残り、死んだルディに口づけをします。戦後、リーゼルは生きのびたマックスと再会し、のちにオーストラリアで長い人生を送ります。彼女が亡くなったとき、死神は、空襲のあとのがれきの中から拾いあげておいたリーゼルの本を、彼女に返すのでした。
読んだあとに話したいこと
- リーゼルにとって、本や言葉はどんな意味をもっていたと思う?
- ハンスやローザは、なぜ危険をおかしてマックスをかくまったのだろう?
- 死神が語り手であることで、物語の感じ方はどう変わった?
おうちの方へ
英語は英検準1級〜1級程度。約12万語と長く、死神の独特な語り口、比喩の多い文体、ドイツ語の単語や罵り言葉が混じるため、英語の本を何冊も読んできた高校生向けです。戦争、ユダヤ人迫害、空襲による主要人物の死、子どもの死、近所の人の自殺があります。死神が先に結末の一部を明かす構成なので、泣ける覚悟で。邦訳は早川書房、映画版もあります。
次に読むなら
同じナチス時代に、ユダヤ人の友だちを守ろうとする少女を描いた Number the Stars(『ふたりの星』)は、もう少しやさしい英語で読める一冊。偏見の渦中で守られるべき人を描く To Kill a Mockingbird(『アラバマ物語』)、本を燃やす社会を描く Fahrenheit 451(『華氏451度』)とも、本と正義というテーマでつながっています。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





