文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/03
どんなお話?(ネタバレなし)
3人の子どもの、3つの逃避行の物語です。1938年のドイツに暮らすユダヤ人の少年ヨーゼフは、ナチスの迫害を逃れるため、家族とともに大西洋を渡る客船に乗りこみます。1994年のキューバに住む少女イサベルは、食べるものにも困る暮らしから抜け出そうと、手づくりのボートでアメリカをめざします。2015年のシリアに住む少年マフムードは、内戦で家を失い、家族とヨーロッパへの長い旅に出ます。
時代も国もちがう3人の物語が、短い章で入れかわりながら進んでいきます。3人の旅は、どこへたどりつくのでしょうか。
こんな子におすすめ
ニュースで流れる難民の映像を見て、なぜ人は命がけで国を出るのかと考えたことのある子に。ハラハラする冒険小説として読めるので、歴史が苦手な子でもぐいぐい引きこまれます。3つの時代を行き来する構成は、社会科で学ぶ出来事を身近に感じるきっかけにもなります。
読みどころ
- 3つの物語は、それぞれいちばん気になるところで次の人物へ切りかわります。ページをめくる手が止まらなくなる、スリル満点の構成です。
- 時代も国もちがう3人が、家族を守るために似たような決断をせまられる場面が重なります。比べながら読むと、難民の経験の共通点が見えてきます。
- 最後に明かされる3人のつながりは、それまでの物語の見え方をがらりと変えます。巻末の作者のあとがきでは、史実とフィクションの関係も説明されています。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
ヨーゼフの一家はキューバ行きの客船セントルイス号に乗ります。強制収容所から出てきたばかりの父は心に深い傷を負っていて、ハバナの港で海に身を投げ、ひとりキューバの病院に残されます。船は上陸を拒まれてヨーロッパへ引き返し、母とヨーゼフ、妹のルーティはフランスで暮らしはじめますが、やがてナチスに捕らえられます。兵士が「子どもをひとりだけ逃がしてやる」と母にせまったとき、ヨーゼフはみずから収容所行きを選び、幼いルーティを守ります。ヨーゼフと母は収容所で命を落としますが、ルーティは生きのびます。
イサベルたちの小さなボートは、嵐やサメ、エンジンの故障に苦しみながら海を進みます。旅の途中で親友をサメに奪われ、母はボートの上で赤ちゃんを産みます。そして一行は、ついにアメリカの海岸にたどりつきます。
マフムードの一家は、トルコからゴムボートでギリシャへ渡ろうとして遭難し、赤ちゃんの妹を別のボートの人に託すしかなくなります。国境を越えていく旅のなかで、目立たないことで身を守ってきたマフムードは、あえて声を上げ、人々に見てもらうことの大切さに気づきます。一家はついにドイツにたどりつき、年老いた女性の家に迎え入れられます。その女性こそ、ヨーゼフの妹ルーティでした。
読んだあとに話したいこと
- 3人のなかで、いちばん心に残った人物はだれ? その理由は?
- マフムードが目立たないようにするのをやめたのは、なぜだと思う?
- もし家族と国を出なければならなくなったら、何を持っていく?
おうちの方へ
3人の物語が数ページずつの短い章で切りかわり、章の終わりが次を読ませる仕掛けになっているので、長さのわりに読み進めやすい一冊。語彙は英検準2級〜2級程度です。ホロコースト、空爆、海での遭難、子どもや家族の死など重い場面が多いので、歴史的な背景を親子で確かめながら読むのがおすすめです。
次に読むなら
スーダンの少年の実話をもとにした A Long Walk to Water(『魔法の泉への道』)は、より短くシンプルに難民の旅をえがきます。ナチス占領下でユダヤ人の友だちを守ろうとする少女の物語 Number the Stars(『ふたりの星』)は、ヨーゼフの時代を別の角度から見せてくれます。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら

A Long Walk to Water
Linda Sue Park
「歴史」「家族」のお話・同じくらいの長さ

Number the Stars
Lois Lowry
「歴史」「家族」のお話・同じくらいの長さ

The Book Thief
Markus Zusak
「歴史」「家族」のお話・同じくらいの長さ

大草原の小さな家
ローラ・インガルス・ワイルダー
日本語の本・「家族」「歴史」のお話・同じくらいの長さ

Diary of a Wimpy Kid: The Deep End
Jeff Kinney
「家族」「冒険」のお話・同じくらいの長さ
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。
