文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/03
どんなお話?(ネタバレなし)
1993年、カリフォルニア。中国から移住してきたばかりのミア・タンは10歳。両親はやっと見つけた仕事、「カリビスタ・モーテル」の住みこみ管理人になります。両親が客室をそうじするあいだ、ミアはフロントに立ってお客をむかえ、電話に出て、かぎをわたす係です。
でも、オーナーのヤオさんはお金にうるさくていじわるで、しかも彼の息子ジェイソンはミアと同じクラス。両親は、行き場のない中国からの移民をこっそり空き部屋に泊めてあげていますが、ヤオさんに知られたら大変です。ミアには夢があります。作家になること。けれどお母さんは「英語はわたしたちの母語じゃないんだから、算数にしなさい」と言います。
フロントで出会う人たち、学校の友だち、そして一通一通の手紙が、ミアの1年を少しずつ変えていきます。
こんな子におすすめ
「ずるい」「不公平だ」と感じることに敏感で、どうにかしたいと思う子に。ことばで人を助けることができると信じたい子、作文が好きな子にも。親の仕事を手伝っている子や、外国から来た友だちのいる子は、ミアの立場に深く共感するでしょう。アメリカの移民の暮らしを知る入り口としても手に取りやすい一冊です。
読みどころ
- 10歳の子どもがモーテルのフロントを切りまわすという設定だけでわくわくします。お客のクレーム対応やかぎの管理など、ミアの「仕事」ぶりが具体的に描かれていて、応援したくなります。
- ミアの武器は手紙。大人のふりをして書いた手紙が本当に人を助けていく展開は、ことばの力を信じさせてくれます。作文にはげむ子の背中を押す本でもあります。
- ハンクが車の盗難で真っ先に疑われる場面など、人種差別がどんなふうに日常に入りこんでいるかが、子どもの目線でわかりやすく描かれます。
- ヤオさんの息子ジェイソンは、いじわるな「敵」として登場しますが、彼にも彼なりの苦しさがあると少しずつ見えてきます。単純な善悪で終わらない人物描写です。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
モーテルには「ウィークリー」と呼ばれる長期滞在のお客がいます。黒人の男性ハンク、ミセスT、ミセスQ、ビリー・ボブ、フレッド。ミアは彼らと親しくなり、学校では同じ移民の子ルペと親友になります。両親は、ヤオさんに使われてひどい目にあった中国人移民たちを無料で泊めてあげ、ミアはその人たちの話を聞いて、不公平さに気づいていきます。
ある晩、お客の車が盗まれ、ヤオさんは真っ先にハンクを疑い、警察に通報してしまいます。さらにヤオさんは両親の給料を減らします。ミアはペンを取り、ハンクの無実を訴える手紙、ハンクが仕事を得るための推薦状など、大人になりすまして何通もの手紙を書き、少しずつ現実を動かしていきます。移民の人が宝石店で盗みの疑いをかけられたときも、手紙で助けます。
ミアは、バーモント州のモーテルを作文コンテストの賞品としてゆずるという広告を見つけ、応募料を工面して全力で作文を書きますが、落選。落ちこむミアに、お母さんは、英語を「自転車」、ほかの子を「車」にたとえて現実を説いていたことをあやまり、ミアの文章を認めてくれます。
やがてヤオさんが、モーテルを売りに出すと言い出します。ミアは、ウィークリーのみんな、両親が助けた移民たち、ルペの家族など、カリビスタとつながりのある人たちに手紙を書いて、少しずつお金を出しあって買い取ろうと呼びかけます。たくさんの人が投資に応じ、ついにタン一家と仲間たちは、ヤオさんからカリビスタ・モーテルを買い取ります。ジェイソンもミアに心を開き、ハンクは経営のパートナーとして残ります。ミアは、自分のことばで人の人生を変えられると知ったのでした。作者ケリー・ヤン自身が子どものころ、両親とモーテルを管理していた経験がもとになっています。
読んだあとに話したいこと
- ミアのお母さんはなぜ「算数にしなさい」と言ったのだろう? その気持ち、わかる?
- ミアが書いた手紙のなかで、いちばん勇気がいったのはどれだと思う?
- お金がないのに、たくさんの人が少しずつ出しあってモーテルを買う。この結末をどう思った?
おうちの方へ
ミアの一人称の語りは口語的で文も短め。章が短くテンポがよいので、長さのわりに読み進めやすい本です。ただし人種差別、移民の不安定な立場、警察の不当なあつかいなど重いテーマを正面から描くので、高学年以上に。親子で話しながら読むと理解が深まります。日本語版は未刊行(2026年現在)。続編は Three Keys。2019年アジア太平洋系アメリカ文学賞。
次に読むなら
続きは Three Keys で、モーテルのオーナーになったタン一家が、カリフォルニアの移民排斥の動きに直面します。移民の子どもの物語をもっと読むなら、メキシコからの少女の Esperanza Rising、3つの時代の難民の子どもを描く Refugee へ。学校での「ちがい」と向きあう物語としては Wonder が、同じ高学年に響きます。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





