文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/09/30
どんなお話?(ネタバレなし)
神谷新二には、サッカーの天才と呼ばれる兄・健一がいます。兄を追いかけてサッカーを続けてきた新二でしたが、自分には兄ほどの才能がないと思い知り、中学でサッカーをやめてしまいました。
高校に入学した新二が選んだのは、陸上競技。幼なじみの一ノ瀬連は、中学時代にずばぬけた走りを見せながら、練習ぎらいで陸上部をやめた天才スプリンターです。その連を誘い、二人はそろって春野台高校の陸上部に入部します。ゼロから短距離を始めた新二の、まっすぐに走る日々がはじまります。
こんな子におすすめ
運動部に入ったばかりの子や、兄弟姉妹・友だちの才能にコンプレックスを感じている子に。新二は特別な才能を持たないところから、努力と仲間で強くなっていく主人公です。陸上に興味がなくても、部活の先輩後輩の関係や、ひとつの目標に向かう高揚感が好きな子なら夢中になれます。
読みどころ
- 新二の一人称の語りは、考えていることがそのまま言葉になったような勢いがあります。レースの場面では、100メートルの十数秒が、息づかいまで伝わるように描かれます。
- 4継のバトンパスの練習に、何ページもかけるこだわり。わずかなタイミングのずれが勝負を分ける世界の奥深さを、読みながら体感できます。
- 天才の兄をもつ新二と、天才なのに本気になれない連。二人の関係の変化が、単なるスポーツ小説ではない心の物語を生んでいます。
- 新二の兄・健一の存在感。弟を気にかけるやさしい兄でありながら、その才能は新二にとって越えられない壁でもあります。兄弟の複雑な距離感が、新二が走る理由に深みを与えています。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
陸上部には、きびしくも温かい顧問の三輪先生、面倒見のいい先輩たち、個性ゆたかな同級生たちがいました。新二はスタートの構えも知らないところから、基礎練習をひとつずつ積みかさねていきます。一方の連は、才能に恵まれながらも気まぐれで、練習にも大会にも、なかなか本気になりきれません。
初めての大会で、新二はほかの選手の速さに圧倒され、陸上の世界の奥深さを知ります。それでも走ることの気持ちよさにとりつかれた新二は、少しずつ記録をのばしていきました。ライバル校には、連と並ぶ実力をもつ選手もあらわれ、連の心にも火がつきはじめます。
新二と連、そして先輩たちと組む4×100メートルリレー、通称「4継」は、陸上部にとって特別な種目です。バトンを受けわたす一瞬のために、何度も練習をくり返す日々。第一部では、新二が陸上に夢中になり、仲間とともにリレーで上を目ざそうと決意するまでの、高校1年生の日々が描かれます。物語は第二部、第三部へと続いていきます。
天才の兄と比べられてきた新二が、自分だけの道を見つけて走りだす姿は、読む人の背中をそっと押してくれます。
読んだあとに話したいこと
- 新二は、どうしてサッカーではなく陸上を選んだんだろう?
- 才能のある人と一緒にいると、どんな気持ちになる?
- リレーのように、チームで何かをやりとげた経験はある?
おうちの方へ
高校陸上部を舞台にした全三部作の第一部で、本屋大賞受賞作です。新二の一人称で、話し言葉に近い軽快な文体なので、長さのわりに読みやすいです。つらい場面は少なめですが、シリーズ後半では家族の事故も描かれます。ひとり読みは中学生〜高校生が目安。部活の雰囲気がリアルで、運動部の子には特に響きます。
次に読むなら
同じくマイナー競技に打ちこむ少年たちの物語なら、飛込み競技を描く森絵都『DIVE!!』が近い読み心地です。中学野球のバッテリーを描く『バッテリー』は、天才と仲間の関係をより鋭く描いています。高校生の一夜を歩きとおす『夜のピクニック』は、スポーツではありませんが、同じく本屋大賞受賞の青春小説です。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





