文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/09/30
どんなお話?(ネタバレなし)
高さ10メートルの台から水面まで、わずか1.4秒。そのあいだに回転やひねりを決めて、美しく水に入る――それが飛込み競技です。
中学2年生の坂井知季は、ミズキダイビングクラブに通う、ごくふつうの少年でした。ところが経営難のクラブは、存続の条件としてオリンピック選手を出すことを求められます。そこへやってきたのが、アメリカ帰りの女性コーチ・麻木夏陽子。彼女は知季の中に眠る才能を見ぬき、きびしい特訓をはじめます。サラブレッドの富士谷要一、野性の飛込みをする沖津飛沫。少年たちの熱い夏が動きだします。
こんな子におすすめ
部活や習いごとで、自分より才能のある仲間に焦りを感じたことのある子に。知季、要一、飛沫の三人は、それぞれまったくちがうタイプの努力家なので、きっと誰かに自分を重ねられます。マイナーなスポーツの世界をのぞいてみたい子、友情とライバル関係の両方が好きな子にも。下巻まで続けて読むと、三人の結末がいっそう胸に迫ります。
読みどころ
- わずか1.4秒の演技を、何ページもかけて描く飛込みの場面。台に立つときの緊張、空中での感覚、水に入る瞬間までが、スローモーションのように伝わってきます。
- 知季、要一、飛沫の三人は、才能の種類も育ちもばらばら。同じ目標を追いながら、互いを意識してゆれ動く心の描き方が、スポーツ小説としての大きな魅力です。
- 強引で謎めいたコーチ・夏陽子の存在感。少年たちを振りまわしながら、一人ひとりの可能性を本気で信じる姿に、大人の読者もひきこまれます。
- 青森の海で育った飛沫の飛込みは、プールで点数を競う競技とはまるで別もの。自然の中で飛ぶことと、ルールのある競技で飛ぶことのちがいが、飛沫の迷いを通して浮かびあがります。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
夏陽子は、知季にずばぬけた動体視力と柔軟な体があることを見ぬき、むずかしい大技、前宙返り三回半抱え型に挑ませます。練習はきびしく、知季は恋や家族のことでもつまずきながら、それでも台に立ちつづけます。飛込みが「好き」なだけだった少年が、自分の意思で高みを目ざす選手へと変わっていきます。
元オリンピック選手の父を持つ要一は、クラブのエースとして誰よりも努力を重ね、知季の急成長に複雑な思いを抱きます。
一方、夏陽子が青森の海から連れてきた沖津飛沫は、伝説の飛込み選手だった祖父の血をひく高校生。海の崖から飛びこんできた彼の飛込みは、形は荒いものの、見る人の心をとらえる力を持っていました。プールでの競技になじめず、腰の痛みも抱える飛沫は、東京の暮らしや仲間とぶつかりながら、自分にとっての飛込みの意味を問いなおします。
上巻では、知季と飛沫がそれぞれの壁にぶつかる姿が描かれ、オリンピック代表選考という大きな目標に向けて、三人の少年がそろって走りだすところまでが語られます。
読んだあとに話したいこと
- 知季、要一、飛沫のなかで、自分にいちばん近いのはだれ?
- ライバルの成長を、素直に喜べないのはどうしてだろう?
- 「好き」と「勝ちたい」は、どうちがうのかな。
おうちの方へ
飛込み競技に打ちこむ中高生を描いたスポーツ小説で、上下巻のうちの上巻です。専門用語は作中でわかりやすく説明されます。軽い恋愛や、恋人を奪われる失恋の場面がありますが、性的な描写は控えめ。ひとり読みは小学6年生〜中学生が目安で、下巻でオリンピック選考の結末が描かれます。
次に読むなら
同じ中学生のスポーツ小説なら、天才ピッチャーと仲間たちを描く『バッテリー』が双璧です。高校の陸上部で短距離とリレーに打ちこむ『一瞬の風になれ』は、より長い時間をかけて部活の三年間を追う物語。作者の森絵都を別の角度から知るなら、魂が少年の体で生きなおす『カラフル』もぜひ。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





