文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/09/29
どんなお話?(ネタバレなし)
旧制中学2年生の本田潤一は、叔父さんから「コペル君」というあだ名で呼ばれています。ある日、デパートの屋上から雨にけむる街を見下ろしたコペル君は、無数の人間がまるで水の分子のように見えることに気づき、ふしぎな気持ちになります。
叔父さんは、そんなコペル君の発見や、学校で起きる出来事をていねいに受けとめ、一冊のノートに自分の考えを書きつづっていきます。友だちとの関係、貧しさと豊かさ、勇気とは何か。物語とノートが交互に進み、読む人自身にも問いが投げかけられます。
こんな子におすすめ
友だちとの約束を守れなかったり、言いたいことを言えなかったりして、自分をいやになったことのある子に。コペル君の失敗は、多くの人が一度は経験する種類のものです。理科や社会の知識が「自分の生き方」とどうつながるのかを考えてみたい、少し背伸びした読書をしたい中学生に向いています。
読みどころ
- デパートの屋上から人の流れを見下ろす冒頭の場面。ありふれた光景から「自分も大きな社会のひと粒だ」と気づく瞬間が、そのまま科学的なものの見方の入り口になっています。
- 物語の章と、叔父さんが書くノートの章が交互に並ぶ構成。出来事を体験したあとに、それを大人が言葉にして考えを深めてくれるので、読む側も自分の経験に当てはめやすくなっています。
- 雪の日の出来事とその後の後悔は、この本のいちばんの山場。失敗した自分をどう受けとめるかという問いに、叔父さんと母がそれぞれのやり方で答えを示します。
- 浦川君の家を訪ねる章では、豆腐屋の仕事を手伝いながら弟妹の面倒をみる同級生の姿が描かれます。教室では見えなかった友だちの暮らしを知ることが、コペル君の見方を大きく変えていきます。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
コペル君は、粉ミルクが自分の手もとに届くまでに世界中の大勢の人がかかわっていることに気づき、それを「人間分子の関係、網目の法則」と名づけます。叔父さんはノートで、人は見えないところで互いにつながりあって生きているのだと語ります。
学校では、豆腐屋の息子の浦川君が、弁当や身なりのことでからかわれていました。コペル君は浦川君の家を訪ね、家業を手伝いながら弟妹の面倒をみる姿に心を打たれ、しだいに親しくなります。北見君、水谷君も加わり、4人は仲よしになりました。
やがて、生意気だと上級生に目をつけられた北見君をかばうため、4人は「そのときはいっしょに殴られよう」と約束します。ところが雪の日、北見君たちが上級生に囲まれたとき、コペル君は恐ろしさに足がすくみ、飛び出すことができませんでした。約束を破った自分を責め、コペル君は熱を出して寝こんでしまいます。
叔父さんは、あやまちを悔やむ苦しさこそ、人が正しい道を求めている証だと励まし、正直に手紙を書くようすすめます。母も、若いころに石段で老婆の荷物を持ってあげられなかった後悔を打ち明けました。勇気を出して謝ったコペル君は友だちと仲直りし、自分はどう生きるべきかを、自分のノートに書きはじめるのでした。岩波文庫版には、丸山真男による文章も収められています。
読んだあとに話したいこと
- コペル君が飛び出せなかったとき、あなたならどうしたと思う?
- 身のまわりのものが、何人の手をへて届いたか想像してみよう。
- あやまちを後悔するのは、悪いことなのかな、それとも大切なことなのかな。
おうちの方へ
1937年に少年少女向けに書かれた本で、叔父さんのノートは論説のような文章なので、中学生のひとり読みが目安です。上級生が下級生を殴る場面や、貧しさゆえにからかわれる場面があります。漫画版もありますが、原作は叔父さんの言葉を自分のペースで読めるのが魅力。親子で同じ章を読んで話すのもおすすめです。
次に読むなら
友だちとの関係に悩み、自分の弱さに向きあう物語として、いじめや不登校を扱う『かがみの孤城』や、祖母との暮らしで生き方を学ぶ『西の魔女が死んだ』がつながります。同じく「大人から子どもへの問いかけ」の形をとる本としては『星の王子さま』も。友情と信頼を正面から描く短編なら、太宰治『走れメロス』をあわせて読むと、約束というテーマがいっそう深まります。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





