文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/03
どんなお話?(ネタバレなし)
三年ごとに開かれる芳ヶ江国際ピアノコンクール。ここで優勝した者は世界で活躍する、と言われる登竜門に、今年も世界中から若いピアニストたちが集まってきます。
養蜂家の父とともに各地を転々とし、自宅にピアノすら持たない16歳の少年・風間塵。かつて天才少女と呼ばれながら、母の死をきっかけに表舞台から消えた20歳の栄伝亜夜。楽器店で働き、家族を持ちながら最後の挑戦に臨む28歳の高島明石。完璧な技術と華やかさで優勝候補と目される19歳のマサル。
審査員も観客も巻きこむ二週間の闘いが、いま幕をあけます。
こんな子におすすめ
ピアノや吹奏楽など、音楽に打ちこんでいる人にはもちろん、楽器を弾かない人にも。演奏シーンの描写が圧倒的で、音が聞こえないはずの文章から音楽が立ちのぼってきます。天才とそうでない人、それぞれの苦しみと喜びが描かれるので、部活や受験で「自分には才能がない」と感じている高校生にも響くはずです。
読みどころ
- 演奏のたびに、聴いている人の頭のなかに浮かぶ風景や記憶が描かれます。同じ曲でも弾く人によってまったく別の世界になることが、文章だけで伝わってきます。
- 語り手が塵、亜夜、明石、マサル、審査員と次々に入れかわるので、ひとりの演奏をさまざまな立場から味わえます。天才を見つめる「普通の人」の視点も魅力です。
- 働きながら挑む明石の章には、音楽を仕事にしなくても音楽とともに生きる道がある、というメッセージが込められていて、大人が読んでも胸に迫ります。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
上巻は、コンクール前のオーディションから、第一次予選、第二次予選の途中までを描きます。パリのオーディションに現れた風間塵は、亡くなった伝説的な音楽家ホフマンの推薦状を携えていました。その演奏は審査員たちを激しく動揺させ、「ギフト」になるのか「災厄」になるのか、評価が真っ二つに割れます。
亜夜は、久しぶりの舞台に不安を抱えながら参加しますが、会場で幼いころピアノを一緒に習っていた「マーくん」と再会します。それが優勝候補のマサルでした。明石は、年齢的にも生活の面でもこれが最後と覚悟し、音楽は一部の天才だけのものではないと証明したい思いで舞台に立ちます。
第一次予選では、それぞれの演奏と、それを聴く審査員・ライバル・家族の心の動きが交互に描かれます。塵の自由な音に触れた亜夜は、忘れていた音楽の喜びを少しずつ取りもどしていきます。第二次予選に入ると、新曲「春と修羅」の自由なカデンツァが課題となり、四人はそれぞれ自分の音楽を問われていきます。上巻は第二次予選のとちゅうで終わり、物語は下巻の第三次予選、本選へと続きます。
読んだあとに話したいこと
- 四人のなかで、いちばん応援したくなったのはだれ? その理由は?
- コンクールで順位をつけることに、どんな意味があると思う?
- 「音楽を楽しむ」ことと「勝つ」ことは両立できるのかな。
おうちの方へ
ピアノコンクールを舞台にした直木賞・本屋大賞のダブル受賞作(上下巻)。過激な描写はなく中学生から読めます。母の死によるトラウマが描かれますが、重すぎることはありません。演奏シーンが長く続くので、登場する曲を実際に聴きながら読むと理解が深まります。下巻とあわせて読んでください。
次に読むなら
ピアノの調律師を描く『羊と鋼の森』は、演奏家を支える側から見たピアノの世界です。コンクールの華やかさとは対照的な静けさを味わえます。競技にかける若者たちの群像劇が好きなら、箱根駅伝を描いた『風が強く吹いている』や、飛込み競技の『DIVE!!』もおすすめ。どれも「個人の挑戦」と「仲間」の両方が描かれています。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





