文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/03
どんなお話?(ネタバレなし)
春の夜、店から逃げだす青年の走りに、ひとりの大学生が目を奪われます。美しいフォームで夜道を駆けていく蔵原走。彼を自転車で追いかけ、声をかけたのは、寛政大学4年の清瀬灰二でした。
灰二に連れられて住むことになった古いアパート「竹青荘」には、個性の強すぎる住人が9人。漫画オタク、司法試験をめざす秀才、ヘビースモーカーの先輩、留学生、陽気な双子――。灰二はそこで、とんでもない計画を打ちあけます。この10人で、箱根駅伝をめざそう、と。
ほとんどが陸上の素人。無謀な挑戦が、いま走りだします。
こんな子におすすめ
部活で長距離や陸上をしている人はもちろん、運動が苦手な人にもおすすめです。素人ばかりの10人が、それぞれの理由で走る意味を見つけていく物語なので、「自分はチームの足を引っぱっている」と感じたことがある人にこそ響きます。仲間とひとつの目標に向かう熱さを、思いきり味わいたい高校生に。
読みどころ
- 本戦では10区間それぞれに章がさかれ、走っている本人の頭の中がくわしく描かれます。家族、進路、恋、コンプレックス――ひとりひとりのドラマが、襷とともにつながっていきます。
- 竹青荘での共同生活のやりとりがとにかく楽しく、合宿や食事の場面に笑いがあふれています。熱いだけでなく、にぎやかな群像劇としても読みごたえがあります。
- 「速く」ではなく「強く」走るとはどういうことか。灰二のことばと走の変化を通して、スポーツの勝ち負けをこえた問いが投げかけられます。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
はじめは反発していた住人たちも、灰二の熱意と綿密な練習計画に引きこまれ、少しずつ走ることに向きあっていきます。走は高校時代、監督に手をあげて陸上部を追われた過去を持ち、他人と走ることにとまどいますが、仲間と過ごすうちに、速さだけではない「強さ」とは何かを考えはじめます。灰二自身もひざに古傷を抱え、それを隠して走りつづけていました。
記録会で出場資格を得た10人は、予選会を突破して箱根駅伝の本戦へ進みます。高校時代の同級生・榊との確執や、強豪・六道大の藤岡の存在が、走をさらに成長させます。
本戦の二日間、10人はそれぞれの区間で自分の限界に挑みます。山登りの5区を任された神童は体調をくずしながらも襷をつなぎ、9区の走は区間記録を塗りかえる快走を見せます。最終10区を走る灰二は、ひざの痛みに耐えながらゴールをめざし、竹青荘の10人は念願のシード権を手にします。走りきった灰二のひざはもう競技に耐えられませんでしたが、走は、灰二が教えてくれた走ることの意味を胸に、これからも走りつづけていくのでした。
読んだあとに話したいこと
- 10人のなかで、いちばん自分に似ていると思うのはだれ?
- 灰二が走に伝えたかった「強さ」って、どんなものだと思う?
- 結果が出るかわからない目標に、仲間を巻きこむのはいいことだと思う?
おうちの方へ
箱根駅伝をめざす大学生10人の青春小説で、スポーツ小説の定番です。刺激の強い描写はほとんどなく、中学生から読めます。飲酒・喫煙の場面(大学生)や、主人公の暴力事件の過去が出てきます。670ページと厚いですが、後半の本戦は一気に読めるはずです。お正月の駅伝中継を見る前後に読むとさらに楽しめます。
次に読むなら
高校の陸上部を舞台にした佐藤多佳子『一瞬の風になれ』は、短距離とリレーの物語で、駅伝とは別の「走る」魅力が味わえます。飛込み競技に挑む少年たちの『DIVE!!』、野球の『バッテリー』も、仲間とライバルの関係が熱いスポーツ小説です。夜通し歩く高校行事を描いた『夜のピクニック』は、同じく「歩き・走る」時間のなかで心がほどけていく物語です。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





