文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/09/29
どんなお話?(ネタバレなし)
東京の下町で、中学生の娘と暮らしながら弁当屋で働く花岡靖子。ある夜、別れた夫がアパートに押しかけてきて、母娘にとって取りかえしのつかない事件が起こってしまいます。
そこへ手をさしのべたのが、隣の部屋に住む高校の数学教師・石神でした。天才的な頭脳を持ちながら、ひっそりと生きてきた男。彼は、ふたりを守るための「計画」を立てはじめます。
やがて警察の捜査が始まり、刑事の草薙は、大学時代の友人で物理学者の湯川学に相談します。湯川と石神もまた、学生時代に才能を認めあった旧友でした。天才対天才の、静かで息づまる頭脳戦がはじまります。
こんな子におすすめ
謎解きが好きな人、数学や理科が得意な人に。数学者と物理学者の頭脳戦は、論理の力の美しさとこわさの両方を見せてくれます。単なる犯人当てではなく、「人を思う気持ちはどこまで許されるのか」という重い問いを抱えた物語を読みたい高校生に。東野圭吾作品の入口としても最適です。
読みどころ
- 序盤で事件の経緯が読者に明かされる「倒叙」のかたちをとりながら、それでも最後に大きな驚きが待っています。どこに仕掛けがあるのか、推理しながら読む楽しさがあります。
- 湯川と石神は、かつて互いを認めあった天才どうし。友人でありながら対決しなければならない二人の会話には、敬意とさびしさがにじんでいます。
- 数学の問題を「自分で考えて解く」ことと「他人の解答を確かめる」ことのちがいなど、数学の話題が物語の鍵として効果的に使われています。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
靖子と娘の美里は、つきまとう元夫の富樫を、もみあいのすえに殺してしまいます。自首しようとする靖子に、石神は自分にまかせるよう申し出て、死体の処理とアリバイづくりを引きうけます。まもなく、顔をつぶされ指紋を焼かれた男の遺体が河川敷で見つかり、富樫と判明します。靖子たちには事件当夜、映画館などにいたという確かなアリバイがありました。
湯川は、石神の行動に小さな違和感を覚え、真相に近づいていきます。やがて石神は、自分が靖子につきまとうストーカーで、富樫を殺したのは自分だと名乗りでます。
しかし湯川が見ぬいた真実は、もっと恐ろしいものでした。河川敷の遺体は富樫ではなく、石神が別の日に殺した、身寄りのないホームレスの男性だったのです。石神は殺人をもうひとつ重ねることで、警察の考える「犯行日」そのものをずらし、靖子たちのアリバイを本物にしていました。すべては、生きる希望をなくしていた自分に光をくれた母娘のための、報われることのない「献身」でした。
真実を湯川から聞かされた靖子は、石神の犠牲の上で生きることに耐えられず、警察に出頭します。計画が崩れたことを知った石神は、絶望の叫びをあげるのでした。
読んだあとに話したいこと
- 石神の行動を「愛」と呼べると思う?
- もし自分が湯川の立場だったら、友人の秘密に気づいたときどうする?
- 数学の問題と、人の心の問題には、似ているところがあるかな。
おうちの方へ
直木賞受賞の本格ミステリーで、「ガリレオ」シリーズの一作です。殺人、遺体の損壊・遺棄、ストーカー行為、DV(元夫の暴力)、自殺を考える場面が描かれます。残酷な描写は抑えめですが、テーマは重く、高校生以上向けです。シリーズを読んでいなくても楽しめます。映画版もあるので、読後に見くらべるのもおすすめ。
次に読むなら
数学を愛する老博士と家政婦母子の交流を描く小川洋子『博士の愛した数式』は、同じく数学を通して人と人がつながる物語ですが、こちらはやさしく温かな読後感です。東野圭吾のガリレオシリーズを続けるなら、短編集『探偵ガリレオ』から入るとシリーズの原点がわかります。人間のエゴや罪を見つめる文学としては、夏目漱石『こころ』もあわせて読みたい一冊です。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





