文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/09/29
どんなお話?(ネタバレなし)
子どものころから向こう見ずで、損ばかりしてきた「おれ」。家族からはかわいがられず、ただひとり、年老いた下女の清だけが「坊っちゃん」と呼んで、まっすぐな性格をほめてくれました。
東京の物理学校を出たおれは、四国の中学校に数学の教師として赴任します。ところが田舎町では、何をしてもたちまち噂になり、生徒たちには容赦なくからかわれ、同僚の教師たちもひと癖ある人ばかり。曲がったことが大きらいな江戸っ子の新米教師は、この町でどう暴れまわるのでしょうか。
こんな子におすすめ
正義感が強く、納得できないことにはつい口を出してしまう子に。坊っちゃんの向こう見ずな行動は、痛快でありながら、どこか不器用で笑えます。国語の教科書で漱石に出会い、ほかの作品も読んでみたいと思った子の最初の一冊としても最適です。
読みどころ
- 教師たちにつけられるあだ名の数々。見た目や性格をひとことで言いあてる坊っちゃんの観察眼が、登場人物をたちまち忘れられない存在にしています。
- 歯切れのいい江戸っ子の語り口。短い文で言いたいことをずばずば言う文体は、百年以上前の小説とは思えないほど軽快で、声に出して読むのも楽しいです。
- 威勢のいい武勇伝のあいだに、ときおり清への思いがにじみます。坊っちゃんを無条件に信じてくれた清の存在が、物語に深い味わいを加えています。
- 赤シャツや野だいこのいやみな言動と、それにいちいち腹を立てる坊っちゃんの反応。大人の世界の打算やごまかしが、まっすぐな若者の目を通すと、こっけいなほどはっきり見えてきます。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
赴任したおれは、教師たちにかたっぱしからあだ名をつけます。校長は「狸」、教頭は赤いシャツを着た「赤シャツ」、そのとりまきの画学教師は「野だいこ」、数学の主任はいかつい「山嵐」、顔色の悪い英語教師は「うらなり」。
天ぷらそばを四杯食べたことを黒板に書かれ、宿直の夜には布団にバッタを入れられるなど、生徒のいたずらにおれは腹を立てどおしです。赤シャツはたくみに人を操り、おれと山嵐の仲を裂こうとしました。
やがておれは、赤シャツがうらなりの婚約者だった「マドンナ」を横取りするため、うらなりを遠い土地へ転任させたことを知ります。山嵐と和解したおれは、赤シャツの卑劣さに怒りをつのらせますが、生徒どうしの喧嘩に巻きこまれた件で新聞に書かれ、山嵐は辞職に追いこまれてしまいました。
二人は赤シャツと野だいこの素行を見張り、ついに朝帰りの現場をおさえて、生卵をぶつけ、さんざんに殴りつけます。おれはその足で辞表を出し、山嵐とともに町を去りました。
東京に戻ったおれは街鉄の技手になり、清と暮らしはじめます。しかし清はまもなく肺炎で亡くなり、坊っちゃんの寺に葬ってほしいという願いどおり、おれは清を葬ったのでした。
読んだあとに話したいこと
- 坊っちゃんのやり方は正しかったと思う? ほかの方法はあったかな。
- あなたなら、先生たちや友だちにどんなあだ名をつける?
- 坊っちゃんにとって、清はどんな人だったんだろう?
おうちの方へ
明治の中学を舞台にした、漱石の作品の中でもっとも読みやすい一冊です。文語まじりの言いまわしや当時の言葉が多いので、新潮文庫の巻末の注を活用しましょう。教師どうしの殴りあいや、生徒の激しいいたずらの場面があります。ひとり読みは中学生が目安。最後の清との別れはしんみりします。
次に読むなら
大人たちの理不尽に子どもたちが立ち向かう痛快さなら、中学生が廃工場に立てこもる『ぼくらの七日間戦争』が現代版のような読み心地です。同じ明治〜昭和の文豪の短編なら、太宰治『走れメロス』で、まっすぐな主人公がまた別のかたちで描かれます。島の分教場の先生と教え子を描く『二十四の瞳』と、教師が主人公の物語どうしで読みくらべるのもおもしろいです。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





