文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/03
どんなお話?(ネタバレなし)
一生に一度だけ、亡くなった人ともう一度会わせてくれる「使者(ツナグ)」がいる――。そんなうわさをたよりに、さまざまな人がツナグのもとをたずねてきます。ただし、死者に会えるのは生きている人も死者も一度きり。会えるのは一晩だけです。
突然この世を去ったアイドルに支えられていた女性、亡くなった母にどうしても確かめたいことがある頑固な長男、事故で死んだ親友に会いたい女子高生、ある日姿を消した婚約者を待ちつづける会社員。
彼らを死者と引きあわせるのは、意外にもひとりの男子高校生でした。一夜の再会は、残された人に何をもたらすのでしょうか。
こんな子におすすめ
大切な人に言えなかったことがある人、友だちへの嫉妬やもやもやした気持ちに悩んだことがある人に。死者との再会というファンタジーの設定を通して、生きている人どうしの関係を見つめなおす物語です。章ごとに依頼人がちがうので、長編に慣れていなくても読みやすく、泣ける物語が好きな中高生に。
読みどころ
- 会えるのは一生に一度、しかも死者の側も一度しか会えない、というルールが物語に緊張感を与えています。誰に会うか、その一回をどう使うかに、依頼人の人生が表れます。
- 女子高生どうしの友情と嫉妬を描く章は、甘い感動では終わらない苦さがあり、読後に長く心に残ります。辻村深月らしい、思春期の心の描き方が光ります。
- 最終章で、それまでの依頼を使者の側から見なおすことで、同じ出来事がまったくちがう意味を帯びて見えてきます。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
使者をつとめるのは、祖母から役目を引きつぐための見習い中の高校生・渋谷歩美。物語は、依頼人ごとの章で進みます。
アイドルに救われてきた女性は、再会を通して自分の足で生きる力を受けとります。頑固な長男は、がんで亡くなった母と会い、家の跡継ぎをめぐるわだかまりを解いていきます。女子高生の嵐美砂は、自転車の事故で亡くなった親友・御園奈津に会いますが、親友への嫉妬から自分がしたことが事故につながったという罪悪感を隠したまま本心を語れず、再会のあと、奈津がすべてを知っていたことに気づいて、取りかえしのつかない後悔を抱えることになります。婚約者を待ちつづけた男性は、彼女がなぜ姿を消したのか、その真実と、自分に向けられていた思いを知ります。
最終章では、歩美自身の視点から、それまでの依頼が振りかえられます。歩美は幼いころに両親を亡くしており、その死には謎がありました。使者の役目を継ぐかどうか迷う歩美は、祖母とともに両親の死の真相に向きあい、生者と死者をつなぐ仕事の重さと意味を受けとめて、使者を継ぐことを決意するのでした。続編に『ツナグ 想い人の心得』があります。
読んだあとに話したいこと
- 一度だけ亡くなった人に会えるとしたら、だれに会いたい? 何を話したい?
- 死者に会えることは、残された人にとって本当に救いになるのかな。
- 嵐さんの章を読んで、友だちとの関係でどんなことを考えた?
おうちの方へ
死者と一度だけ再会できるという設定の連作長編で、どの章にも死が描かれます。病死、事故死、突然死のほか、嫉妬や罪悪感など重い感情もテーマです。怖い話ではありませんが、身近な人を亡くした経験のある子には強く響くので、様子を見守ってください。章ごとに完結するので、少しずつ読みすすめられます。
次に読むなら
同じ辻村深月の『かがみの孤城』は、ふしぎな城に集まる中学生たちの物語で、伏線が最後に一気につながる構成が共通しています。限られた時間を生きる少女と少年を描く『君の膵臓をたべたい』は、大切な人を失うことをテーマにした青春小説。死後の世界から人生をやりなおす『カラフル』は、生と死を少し軽やかに見つめる物語です。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





