文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/03
どんなお話?(ネタバレなし)
小学6年生のリナは、夏休みにひとりで旅に出ることになりました。行き先は、お父さんが教えてくれた「霧の谷」。駅をおりて山道を歩いていくと、あたりは深い霧につつまれて……。
霧が晴れたとき、リナの目の前にあったのは、地図にものっていない、色とりどりの家が立ちならぶふしぎな町でした。リナが泊まることになったのは、気むずかしいピコットばあさんの屋敷。ところがここでは、ただで泊めてもらうことはできません。「働かない者は食べてはいけない」というのです。
へんてこな人ばかりが住む町で、リナのふしぎなひと夏が始まります。
こんな子におすすめ
夏休みに祖父母や親せきの家へ、ひとりで泊まりに行く予定のある子に手渡したい一冊です。ひとりで電車に乗る、知らない大人と話す、といった小さな冒険にどきどきしている時期の子なら、リナの心細さも誇らしさも自分のことのように感じられるでしょう。お店屋さんや、いろいろな仕事に興味がある子にも。
読みどころ
- 「めちゃくちゃ通り」の店を、リナが一軒ずつ順に手伝っていく構成です。一軒ごとに店主のくせも困りごともちがうので、短いお話を何本も読むように、区切りながら読み進められます。
- 口うるさいピコットばあさんの言いつけは、はじめは理不尽に見えます。大人の厳しさの奥にあるものを、リナより先に読者が感じとれるかどうか。読み返したときにいちばん味わいが変わる人物です。
- 霧の山道を歩いて町にたどりつくまでの導入が、現実とふしぎの境目をゆっくり溶かしていきます。いきなり魔法が飛びだすのではなく、「あれ?」と思うことが少しずつ増えていく語り口です。
- リナは特別な力を持った子ではなく、失敗もすれば落ちこみもする、ごく普通の6年生です。だからこそ、働くなかで少しずつ自信をつけていくようすに、読者も自分を重ねやすくなっています。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
ピコットばあさんの決まりで、リナは町のお店で働くことになります。「めちゃくちゃ通り」と呼ばれる通りには、本屋、船具屋、せともの屋、おもちゃ屋、お菓子屋と、ひとくせもふたくせもある店主たちの店がならび、リナは一軒ずつ順に店を手伝っていきます。はじめはとまどい、失敗して落ちこむこともありましたが、店の人たちの人がらや事情を知るうちに、リナは少しずつ町になじみ、働くことの楽しさも覚えていきます。
やがてリナは、この町に住む人たちが、じつはふつうの人間ではなく、魔法の力を持つ人たちの子孫で、ひっそりとくらしていることを知ります。口うるさいと思っていたピコットばあさんも、じつはリナをやさしく見守ってくれていたのでした。
すべての店を手伝い終えるころ、夏休みも終わりに近づきます。ピコットばあさんから帰りの切符を渡されたリナは、町の人たちからお土産をもらい、別れを惜しみながら霧の谷をあとにして、ひと夏で少したくましくなった自分を感じながら家へ帰っていきます。
読んだあとに話したいこと
- めちゃくちゃ通りのお店のなかで、あなたならどこで働いてみたい?
- ピコットばあさんのことを、読みはじめと読み終わりでどう思った?
- 働かないと泊めてもらえない町を、あなたはどう思う? おうちのお手伝いとくらべてみよう。
おうちの方へ
宮崎駿監督が『千と千尋の神隠し』の構想のきっかけのひとつにしたとも言われる作品です。こわい場面はほとんどなく、ふしぎな町の店を1軒ずつめぐるように読めます。ひとり読みは小学3・4年生から。同じ作品は講談社青い鳥文庫版もあります。
次に読むなら
ひとりで知らない町へ行き、働きながら居場所を見つけていく女の子の話が気に入ったなら、角野栄子『魔女の宅急便』が自然な次の一冊です。リナより少し年上のキキが、1年という長い時間をかけて町になじんでいきます。ふしぎなお店の話が楽しかった子には『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』も。こちらは1話ごとに、店をおとずれたお客のほうが主人公になる、逆向きのつくりです。
読んだ人の感想
読みこみ中…
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この本を紹介している記事
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





