小学生の読書感想文:本選びから書き方まで親子で進めるコツ
文:ブックリンカー編集部 / 公開:2026/09/28
X でシェア夏休みの宿題の中でも、読書感想文は親子ともに悩みやすいもののひとつです。「何を書けばいいかわからない」と原稿用紙の前で止まってしまう子を見ると、つい手や口を出したくなります。
読書感想文がうまく書けない原因の多くは、文章力よりも「本選び」と「書く前の準備」にあります。この記事では、ブックリンカー編集部が、書きやすい本の条件、読みながらのメモのとり方、親子の会話から構成をつくる方法、そしてよくある失敗を順に紹介します。学校ごとに決まりや字数がちがうので、細かい条件は必ず学校の指示を確認してください。
書きやすい本の3つの条件
感想文が書きやすい本には、共通点があります。まず、主人公が何かに迷ったり、選んだり、変わったりする場面があること。次に、子ども自身の経験と重ねられる出来事があること。そして、最後まで無理なく読める長さであることです。起きた出来事が楽しいだけの本は、読んでいるときは夢中になれても、感想文では「おもしろかったです」で終わりやすくなります。
反対に、長すぎる本や難しすぎる本は、読み終えるだけで力を使い果たしてしまいます。感想文のための本は、いまの子どもの読む力より少しやさしいくらいのものを選ぶと、内容について考える余裕が生まれます。
- 主人公が迷う・選ぶ・変わる場面がある
- 自分の経験(友だち、家族、がんばったこと)と重ねられる
- 感想文の締め切りまでに、無理なく2回読める長さである
学年別、感想文に向く本の例
低学年なら、1話が短い『ふたりはともだち』がおすすめです。手紙が来ないと悲しむがまくんのために、かえるが手紙を書く「おてがみ」は、小学2年生の国語教科書にも長くのっているおはなしです。「友だちのために何かしたことはある?」という問いから、自分の経験につなげやすい本です。『エルマーのぼうけん』も、持ちものがどこで役に立つかを予想しながら読めるので、「自分ならどうするか」を書きやすい一冊です。
2〜3年生で、長い本を1冊読みとおすのがまだ大変な子には、短編集もよい選択です。『車のいろは空のいろ 白いぼうし』は1話15分ほどで読めるおはなしが集まった本で、どのおはなしについて書くかを子ども自身が選べます。短編集で書くときは、全部のおはなしに触れようとせず、いちばん心に残った1話にしぼると書きやすくなります。
中学年なら、『魔女の宅急便』や『二分間の冒険』のように、主人公が新しい場所でがんばったり、選んだりする物語が向いています。ふしぎな町の店をめぐりながら主人公がはたらくことを知っていく『霧のむこうのふしぎな町』も、「はたらくってどういうこと?」という問いから自分の生活につなげやすい本です。高学年には、当サイトの読み方ヒントでも夏休みの読書感想文の定番として紹介している『夏の庭』があります。死や戦争の記憶という重いテーマを含むので、子どもの様子を見ながら選んでください。
読みながら付せんを貼る
感想文を書くときに困るのは、「どこが心に残ったか」を思い出せないことです。そこで、読みながら気になったページに付せんを貼っておく方法がおすすめです。付せんには何も書かなくても構いません。あとで見返したときに、「このページで何か感じたんだ」とわかれば十分です。
余裕があれば、付せんの色を分けるとさらに便利です。たとえば、びっくりしたところは黄色、主人公にもやっとしたところは青、自分に似ていると思ったところは赤、といった具合です。読み終えたあと、いちばん多い色を見るだけで、その本が自分にとってどんな本だったかが見えてきます。
- 黄色:びっくりした、おもしろかったところ
- 青:主人公にもやっとした、自分ならちがうことをすると思ったところ
- 赤:自分と似ている、自分にもこんなことがあったと思ったところ
「話したい問い」で親子の会話をする
書きはじめる前に、親子で本について話す時間をとりましょう。このとき「どうだった?」と聞くと、多くの子は「おもしろかった」としか答えられません。答えやすいのは、具体的な場面についての問いです。付せんを貼ったページを一緒に開いて、「ここで何を思ったの?」と聞くところから始めると、会話が広がりやすくなります。
たとえば『夏の庭』なら、「三人はどうしておじいさんを見張ろうと思ったんだろう」「最初とくらべて、おじいさんとの関係はどう変わった?」といった問いが考えられます。『ふたりはともだち』なら、「手紙が届くまで4日もかかったのに、ふたりが幸せな気持ちで待てたのはなぜだと思う?」と聞いてみるのもよいでしょう。親は答えを誘導せず、子どもの言葉をそのままメモしておくのが役目です。
- 「いちばん心に残った場面はどこ?」
- 「主人公が○○したとき、あなたならどうした?」
- 「読む前と読んだあとで、考えが変わったことはある?」
- 「この本を友だちにすすめるなら、なんて言う?」
会話のメモから構成をつくる
会話のメモがたまったら、それを並べかえるだけで感想文の骨組みができます。基本の形は、本を選んだ理由やあらすじを短く書く「はじめ」、心に残った場面とその理由、自分の経験を書く「なか」、読んで考えたことやこれからしたいことを書く「おわり」の三つです。
とくに大切なのは「なか」です。心に残った場面は1〜2か所にしぼり、その場面で自分が何を思ったのか、なぜそう思ったのかを、自分の経験と結びつけて書きます。「なぜ」を一度深く掘るだけで、感想文はぐっとその子らしくなります。字数が足りないときは、場面を増やすより、ひとつの場面についての「なぜ」をもう一段深めるほうが内容のある文章になります。
よくある失敗とその直し方
感想文でいちばん多い失敗は、あらすじを長く書きすぎてしまうことです。あらすじは、読んだことがない人にも話がわかる程度に、数文でまとめれば十分です。原稿用紙の半分以上があらすじになっていたら、心に残った場面に字数を回すように声をかけましょう。
もうひとつは、「おもしろかったです」「かわいそうだと思いました」のような言葉で終わってしまうことです。そんなときは「どこがおもしろかったの?」「どうしてかわいそうだと思ったの?」と一歩だけ踏みこんで聞き、答えた言葉をそのまま書き足してもらいます。また、親が文章を直しすぎると、子どもの言葉が消えてしまいます。直すのは誤字や読みにくいところにとどめ、内容は子どもの言葉を生かしてください。
- あらすじが長すぎる → 数文にまとめ、心に残った場面に字数を回す
- 感想が一言で終わる → 「どこが?」「どうして?」で一歩深める
- 親が直しすぎる → 誤字の修正にとどめ、子どもの言葉を残す
よくある質問
- Q. 課題図書と自由図書、どちらを選ぶべきですか?
- A. 学校の決まりに合わせるのが前提ですが、選べる場合は、子どもが自分で「読みたい」と思った本のほうが書きやすい傾向があります。課題図書にこだわらず、書きやすい本の条件に合うかどうかで考えてみてください。
- Q. 何回読んでから書きはじめればよいですか?
- A. 1回目は楽しんで読み、2回目に付せんを貼りながら読む、という2回が目安です。短い本なら、親子で交互に音読するのも内容を深く知るよい方法です。
- Q. 悲しい結末の本で感想文を書いてもいいですか?
- A. もちろんです。心が動いた本は、むしろ書くことが見つかりやすいものです。ただ、子どもがつらそうにしている場合は、無理にその本で書かなくてもよいことを伝えてあげてください。







