- 対象の目安
- 小6〜中学
- ボリューム 推定
- 約43,000語長編
- ページ数
- 240ページ
- 出版社
- HMH Books for Young Readers1993年
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文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/09/30
どんなお話?(ネタバレなし)
ジョナスが暮らす「コミュニティ」には、争いも飢えも痛みもありません。家族の組み合わせも、将来の仕事も、長老たちが決めてくれます。規則を守っていれば、誰もがおだやかに暮らせる世界です。
12歳の儀式の日、仲間たちがそれぞれの職業を言いわたされるなか、ジョナスだけは特別な役目「記憶を受けつぐ者」に選ばれます。老人「ギヴァー」のもとで訓練を受けはじめたジョナスは、完ぺきに見える世界の裏側に気づいていきます。
こんな子におすすめ
「決まりはなんのためにあるの?」と、学校や家のルールに疑問をもちはじめた中学生前後の子に。争いも悩みもない世界は理想なのか――大人でもすぐには答えの出ない問いを、物語を通して考えさせてくれます。SFや近未来ものに興味が出てきた子の、最初の本格的な一冊にも。
読みどころ
- コミュニティの暮らしは、はじめ穏やかで清潔に見えます。けれど、夕食のあとに家族で気持ちを報告しあう習慣や、言葉づかいの厳しい決まりなど、細かな描写に少しずつ違和感がまじっていきます。
- ジョナスが、手にしたリンゴの見え方が一瞬変わったことに気づく場面は、物語の大きな謎の入り口。読者もジョナスと一緒に「何が起きたのか」を考えることになります。
- ギヴァーから受けとる記憶の場面は、雪の冷たさや日の光のぬくもりなど、五感に訴える描写で書かれています。ジョナスにとってのはじめての感覚を、読者も新鮮に追体験できます。
- 英文そのものはやさしい語彙で淡々と書かれていますが、precise や release など、コミュニティで特別な意味をもつ言葉に注意して読むと、世界の仕組みが見えてきます。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
ギヴァーは、コミュニティが「同一化」によって捨て去った過去の記憶を、ジョナスに手でふれて送りこみます。雪の坂をそりで下るよろこび、太陽の暖かさ、そして色。コミュニティの人々には色が見えず、天気も感情も管理されていたのです。一方で、戦争の痛みや飢え、骨折の苦しみといったつらい記憶も受けとり、ジョナスはひとりでそれを抱えることになります。愛や家族のぬくもりの記憶を知ったジョナスは、周りの人々が本当の感情を知らないことに孤独を感じます。
コミュニティでは、老人や規則を破った者、育ちの悪い赤ちゃんが「解放」されて外の世界へ行くとされていました。ギヴァーが見せた記録映像で、ジョナスは、育児係の父が双子の片方の赤ちゃんに注射をして命を奪うのを見て、「解放」が死を意味することを知ります。
ジョナスとギヴァーは、ジョナスがコミュニティを出れば記憶が人々にもどる、と計画を立てます。ところが、ジョナスの家で預かっていた赤ちゃんゲイブが解放されると決まり、ジョナスはゲイブを連れて夜のうちに自転車で逃げ出します。飢えと寒さのなかで旅を続け、雪の丘でそりを見つけたジョナスは、丘のふもとに灯りと音楽のある家を見た気がします。ふたりが本当にたどりついたのかどうかは、読者にゆだねられて物語は終わります。
読んだあとに話したいこと
- 争いも痛みもないけれど、自分で選ぶこともできない世界。きみはそこに住みたいと思う?
- つらい記憶も、なくさないほうがいいと思う? それはなぜ?
- 12歳で一生の仕事を決められるとしたら、きみはどんな役目を任されたい?
- 物語の終わり方を、きみはどう受けとめた?
おうちの方へ
語彙は英検準1級程度。文体は静かで平易ですが、「解放」など言葉に隠された意味を読みとる力が必要です。赤ちゃんや老人の安楽死を思わせる場面、感情を薬で抑える描写があり、中学生以上向け。結末があいまいなので、読後に親子で話し合うのに向いています。日本語版は新評論、4部作の1作目で映画版もあります。
次に読むなら
4部作の続きには Gathering Blue、Messenger、Son があり、別の共同体を舞台に物語が広がっていきます。同じロイス・ローリーの作品なら、第二次世界大戦下のデンマークを描いた Number the Stars で、実際の歴史のなかの自由と勇気を読むことができます。管理された社会と愛の力というテーマでは A Wrinkle in Time、時間と心を奪う存在に立ち向かう『モモ』とも読みくらべてみると、作家ごとの答えのちがいが見えてきます。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら

Gathering Blue
Lois Lowry
同じ作者・「ファンタジー」「成長」のお話・同じくらいの長さ

Number the Stars
Lois Lowry
同じ作者・「家族」「成長」のお話・同じくらいの長さ

A Wrinkle in Time
Madeleine L'Engle
「ファンタジー」「家族」のお話・同じくらいの長さ

モモ
ミヒャエル・エンデ
日本語の本・「ファンタジー」のお話・同じくらいの長さ

The Land of Stories: A Grimm Warning
Chris Colfer
「ファンタジー」「家族」のお話・同じくらいの長さ
この本を紹介している記事
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。
