ブックリンカー

英語のシリーズ

The Giver Quartet

ギヴァー4部作

全4巻(完結)

作:Lois Lowry

文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/17

The Giver Quartet は、アメリカの作家ロイス・ローリーによる4部作です。1993年の The Giver に始まり、Gathering Blue(2000年)、Messenger(2004年)、Son(2012年)と、約20年をかけて書きつがれました。どの巻も、同じ未来の時代にある別々の共同体を舞台にしていて、それぞれの社会が何を守り、何を人々から取りあげているのかが、少年少女の目を通して描かれます。1冊目の The Giver はニューベリー賞を受け、2014年には映画にもなりました。

The Giver の主人公ジョーナスは、争いも苦しみもない、すべてが決められた町に暮らしています。12歳の儀式で「記憶を受けつぐ者」に選ばれたことから、町が手放してきたものを少しずつ知っていきます。2作目の Gathering Blue は、脚に障がいのある少女キラが刺しゅうの腕を頼りに生きる、きびしい村の物語。3作目の Messenger では、森を行き来して伝言を運ぶ少年マティが中心になり、4作目の Son で、それまでの物語の糸がひとつに結ばれていきます。

英語の文体は静かで平易ですが、当サイトの The Giver は英検準1級程度の語彙が目安です。むずかしいのは単語そのものより、町の人々が使うていねいな言葉の裏にある本当の意味を読みとるところです。日本語版は新評論から4作すべて出ていて(島津やよい訳)、『ギヴァー 記憶を注ぐ者』『ギャザリング・ブルー 青を蒐める者』『メッセンジャー 緑の森の使者』『ある子ども』という題です。原書に挑戦するなら、日本語版と並行して読むと、言葉に込められた含みを確かめやすくなります。なお作者は少女時代の数年間を東京で過ごしています。

命の扱いにかかわる衝撃的な場面、感情や記憶を薬や決まりで抑える描写、暴力や障がいへの差別などが出てくるため、中学生以上を目安にしてください。結末をはっきり言い切らない巻もあり、読んだあと「この社会のどこがおかしかったのか」「自分ならどうするか」を話しあうのに向いたシリーズです。

読む順番のコツ

刊行順に読んでください。2作目と3作目は一見別の話に見えますが、登場人物が少しずつ重なっていき、4作目の Son は前の3作を読んでいることを前提に書かれています。まず The Giver だけ読んで考えを深め、続きが気になったら間をあけて次の巻へ進む読み方でもかまいません。

こんな子に

中学生以上が目安。「みんな同じ」がよいとされる社会に疑問をもった子や、読後に家族と議論できる本をさがしている家庭に。

読む順番

刊行順。全4作。邦題は新評論版(島津やよい訳)です。

  1. 1
    『The Giver』の表紙
    The Giver

    1993年。ジョーナスの物語。邦題『ギヴァー 記憶を注ぐ者』

    小6〜中学長編English
    あらすじを読む →
  2. 2
    『Gathering Blue』の表紙
    Gathering Blue

    2000年。少女キラの物語。邦題『ギャザリング・ブルー 青を蒐める者』

    小5〜高校長編English
    あらすじを読む →
  3. 3

    Messenger

    2004年。森を行き来する少年マティの物語。邦題『メッセンジャー 緑の森の使者』

  4. 4

    Son

    2012年。クレアの物語。前の3作を読んでから。邦題『ある子ども』

当サイトで紹介している巻は、タイトルからあらすじ・対象の目安のページに移れます。ほかの巻も紹介してほしいときは本のリクエストへ。

読み終えたら、次の1冊

  • The Hunger Games(シリーズ)

    決められた社会に疑問をもち、自分で選ぼうとする主人公に心を動かされた子に。The Giver の静かな語りとちがい、一人称・現在形の緊迫した展開で一気に読ませます。1冊約10万語と倍以上の長さで、暴力の描写も多いので中学生以上に。

  • 『Fahrenheit 451』の表紙
    Fahrenheit 451

    人々が考えることを手放した社会の物語をもっと読みたい子に。本を燃やすのが仕事の消防士が、自分の暮らしに疑問をもちはじめます。約4.6万語と The Giver と同じくらいの長さですが、比喩の多い文体で英検準1級〜1級。高校生の次の一歩に向きます。

  • 『Number the Stars』の表紙
    Number the Stars

    同じロイス・ローリーが、第二次世界大戦中のデンマークでユダヤ人の親友を守ろうとする少女を描いた物語です。空想の社会ではなく実際の歴史の中の自由と勇気を読めます。約2.7万語・英検2級程度と短く平易なので、The Giver が少しむずかしかった子にも。

よくある質問

Q. 原書の英語はどのくらいのレベルですか?
The Giver は約4.3万語、Gathering Blue は約4.8万語と、英語の長編としては短めです。文は短く静かですが、語彙は英検準1級程度が目安で、英語を4〜5年学んだ高校生がひとり読みに挑戦しやすい本です。むずかしいのは単語より、release のようにこの町で特別な意味をもつ言葉。日本語版で筋を知ってから原書を読むと、言葉の含みに気づきやすくなります。
Q. 日本語版はありますか?
4作とも新評論から島津やよい訳で出ています(『ギヴァー 記憶を注ぐ者』『ギャザリング・ブルー 青を蒐める者』『メッセンジャー 緑の森の使者』『ある子ども』)。1作目には講談社から出た掛川恭子訳『ザ・ギバー 記憶を伝える者』という古い訳もあり、図書館ではこちらの題で見つかることがあります。
Q. 1作目だけ読んでもいいですか?
The Giver は1冊で区切りがつく作りで、結末は読み手の考えにゆだねられています。まず1作目だけ読んで親子で話しあうのも十分な読み方です。ジョーナスのその後が気になったら、Messenger と Son まで読むと答えに近いものが見えてきます。Gathering Blue は登場人物が別なので、間をあけて読んでもかまいません。
Q. 何年生から?つらい場面はありますか?
中学生以上が目安です。The Giver では「解放」という言葉の本当の意味がわかる場面が衝撃的で、赤ちゃんの命が奪われることが描かれます。Son の主人公は、14歳で子どもを産む役目を負わされた少女で、出産の場面もあります。暴力の描写そのものは多くありませんが、命の扱いを考えさせる重さがあるので、大人が先に読んでおくと安心です。

ほかのシリーズ