文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/03
どんなお話?(ネタバレなし)
空いろのタクシーを運転する、やさしい運転手の松井さん。松井さんのタクシーには、ときどきふしぎなお客さんが乗ってきます。ちいさな子どもだと思ったら、どうやら人間ではないようで……。
表題作「白いぼうし」は、ある夏の日のおはなし。道ばたにぽつんと落ちていた小さな白いぼうしを、松井さんがひろいあげようとすると……。
この本には、「白いぼうし」をはじめ、「小さなお客さん」「山ねこ、おことわり」「くましんし」など8つのおはなしが入っています。ふしぎで、やさしくて、ちょっぴりせつない、松井さんとお客さんの出会いの物語です。
こんな子におすすめ
教科書で「白いぼうし」に出会い、松井さんのほかのお話も読んでみたくなった子に。長い物語はまだ荷が重いけれど、絵本より少し先に進みたい小学2〜4年生にも手に取りやすい分量です。はっきりした事件よりも、ふしぎな余韻や、ことばにしきれない気持ちを味わうのが好きな子に向いています。
読みどころ
- どの話も、タクシーに乗ってくるお客さんがきっかけで始まります。運転手の松井さんは同じでも、お客さんが変わるたびに、季節もふしぎの種類もがらりと変わります。
- 松井さんは、ふしぎなことが起きても大げさに驚いたり、問いつめたりしません。その静かな受けとめ方が、読み手にも「そういうこともあるかもしれない」と思わせてくれます。
- 夏みかんのにおい、空いろの車体、初夏の野原など、においや色の描写が印象に残ります。ことばから場面を思いうかべる力を、自然に育ててくれる文章です。
- 黒井健のやわらかなタッチの挿絵が、ふしぎな出来事をこわさではなく、やさしさで包んで見せてくれます。
ここから先は物語の結末に触れています。読み終わった人や、読み聞かせの前に内容を確かめたい保護者の方向けです。
「白いぼうし」で、松井さんは、いなかのお母さんが送ってくれた夏みかんを車にのせて走っていました。道ばたに落ちていた白いぼうしをひろいあげると、中からもんしろちょうが飛び出して逃げてしまいます。ぼうしの持ち主の男の子ががっかりしないよう、松井さんはかわりに夏みかんをぼうしの中に入れておきました。
車にもどると、いつのまにか後ろの座席に小さな女の子が乗っていて、行き先を告げます。走りだした車の窓から、ぼうしをあけてびっくりする男の子の姿が見えました。やがて女の子はいつのまにか消えていて、野原にはたくさんのちょうが飛びかっています。松井さんの耳には、ちょうたちの小さな声が聞こえたような気がしました。女の子は、あのとき逃げたちょうだったのかもしれません。
ほかのおはなしでも、動物が人間のすがたでタクシーに乗ってきたり、戦争で家族を失った人の思い出にふれたりと、松井さんはふしぎなお客さんを乗せて町を走ります。どのおはなしも、松井さんのやさしさが、ふしぎなお客さんの心をそっと包みこんで終わります。
読んだあとに話したいこと
- タクシーに乗ってきたお客さんのなかで、いちばん会ってみたいのはだれ?
- 松井さんは、どうしていつもお客さんにやさしくできるのかな。
- 松井さんのタクシーに乗れるとしたら、どこへ連れていってほしい?
おうちの方へ
「白いぼうし」は小学4年生の国語教科書に長くのっている名作です。1話15分ほどで読めるので、読み聞かせにも、小学2・3年生のひとり読みにも向いています。「すずかけ通り三丁目」は戦争で子どもを亡くした女性のおはなしで、少し悲しい場面があります。シリーズは2022年に出た『ゆめでもいい』を加えて全4巻です。
次に読むなら
シリーズは全4巻なので、気に入ったら続く3冊で松井さんとまた会えます(読む順番は「シリーズで読む」のページにまとめています)。同じく教科書でおなじみのお話が入った本として、「おてがみ」を収めたアーノルド・ローベル『ふたりはともだち』も、少し下の学年向けに並べておきたい一冊。ふしぎな世界に迷いこむ長めの物語へ進むなら、柏葉幸子『霧のむこうのふしぎな町』が次の段にあたります。1話15分の短編から、1冊を通して読む物語へ、無理なく移っていけます。
読んだ人の感想
読みこみ中…
この本が好きなら
この本が入っている特集
この本を紹介している記事
あらすじなどの文章は AI(Claude)が書いたもので、登場人物や出来事、結末などが実際の本と一部異なる可能性があります。対象の目安・ボリュームもブックリンカー編集部による目安です。お気づきの点はお問い合わせからお知らせください。書誌情報は openBD・国立国会図書館サーチ・Open Library・版元ドットコムを参照しています。





