日本語のシリーズ
守り人シリーズ
Moribito series
全10巻(完結) 短編集『流れ行く者』『炎路を行く者』と、外伝の長編『風と行く者』、ガイドブックなどは数に入れていません
作:上橋菜穂子
文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/17
「守り人シリーズ」は、上橋菜穂子が1996年の『精霊の守り人』から書きつづけてきた長編ファンタジーです。舞台は、アジアを思わせる架空の大陸にある新ヨゴ皇国、カンバル王国、ロタ王国などの国々。短槍の使い手である女用心棒バルサと、彼女が命がけで守ることになる新ヨゴ皇国の皇子チャグムの二人を中心に、物語は国境を越えて広がっていきます。
このシリーズがほかの児童向けファンタジーと大きくちがうのは、主人公が30代の大人だという点です。バルサは強いけれど万能ではなく、過去の傷や迷いを抱えたまま戦います。また、人の目には見えない「ナユグ」という異界がこちらの世界と重なりあって存在するという設定があり、精霊や異界の出来事が、国どうしの争いや政治の動きと結びついていくのが特徴です。魔法で問題が片づくことはほとんどなく、登場人物は自分の足で歩き、考え、選びます。
シリーズは大きく二つの流れからできています。バルサが主人公の「守り人」の巻では、彼女の生まれ故郷カンバルや、育ての親ジグロとの過去が掘り下げられます。一方、チャグムが主人公の「旅人」の巻(『虚空の旅人』『蒼路の旅人』)では、皇太子となった彼が外交や戦の気配のなかで、国を背負う者としての重さを知っていきます。二つの流れは最後の三部作『天と地の守り人』でひとつに合流するため、途中から読むよりも刊行順にたどるほうが、人物の変化をずっと深く味わえます。
巻が進むにつれて、物語は冒険活劇から、国と国の駆け引き、民の暮らし、信じてきた歴史の真偽を問う重厚な群像劇へと広がっていきます。1巻は逃避行の緊張感で一気に読めますが、後半の巻は登場人物も地名も増え、じっくり読む力が必要になります。
槍や刀での戦闘、多少の流血、暗殺や戦争の場面がくり返し出てきます。人が命を落とす場面も少なくありません。残酷さをあおる書き方ではありませんが、戦いの描写が苦手な子には、1巻を読んだ反応を見ながら続きを渡すと安心です。
読む順番のコツ
刊行順に読むのがいちばんです。「守り人」と「旅人」の巻が交互に出ていて、どちらも最後の『天と地の守り人』三部作につながっているので、順番を飛ばすと人物の関係や国の事情がわかりにくくなります。『神の守り人』は来訪編・帰還編の2冊、『天と地の守り人』は3冊で一つの話です。短編集『流れ行く者』『炎路を行く者』は、本編を読み終えてから手にとると、登場人物の若いころの姿がより楽しめます。
こんな子に
長い物語を読みとおす力がついてきた小学5年生くらいから中学生、そして大人まで。戦う大人の主人公や、国どうしの駆け引きが描かれる骨太な物語を読みたい子に。
読む順番
偕成社の単行本の刊行順。本編10冊(「守り人」と「旅人」)のあとに短編集・外伝が続きます。ガイドブックなどの関連本は含めていません。新潮文庫版・軽装版もあり、巻の順番は同じです。
- 1

- 2

- 3
夢の守り人
人を眠りに引きこむ不思議な夢をめぐる話。タンダやトロガイの活躍が多い。
- 4
虚空の旅人
皇太子チャグムが主人公の「旅人」1作目。隣国サンガル王国が舞台。
- 5
神の守り人 来訪編
ロタ王国で、恐ろしい力を秘めた少女とバルサが出会う。帰還編と2冊で一つの話。
- 6
神の守り人 帰還編
- 7
蒼路の旅人
「旅人」2作目。大国の影がせまるなか、チャグムが海へ出る。
- 8
天と地の守り人 第一部 ロタ王国編
シリーズを締めくくる三部作。バルサとチャグムの物語が合流する。
- 9
天と地の守り人 第二部 カンバル王国編
- 10
天と地の守り人 第三部 新ヨゴ皇国編
- 11
流れ行く者
短編集。少女時代のバルサと、少年時代のタンダを描く。
- 12
炎路を行く者
短編集。本編に登場するある人物の若いころの物語などを収める。
- 13
風と行く者
外伝。本編の後のバルサが、昔の旅の記憶とともに描かれる長編。
当サイトで紹介している巻は、タイトルからあらすじ・対象の目安のページに移れます。ほかの巻も紹介してほしいときは本のリクエストへ。
読み終えたら、次の1冊
- 獣の奏者(シリーズ)
同じ上橋菜穂子の長編ファンタジーです。獣医の娘エリンが、国の争いに利用される獣・王獣と心を通わせていきます。国と国の駆け引きや、生きものと人との関係を自分の頭で考える物語が好きな子に。守り人を読みきった子なら、そのまま読み進められます。
十二国記『月の影 影の海』
架空の国々の政治と、重い役目を背負った主人公の成長にひかれた子に。ふつうの女子高生がとつぜん異界の国へ連れ去られ、生きのびるうちに王として立つことになります。文章も内容も一般向けの重さなので、中学生以上で守り人の後半を楽しめた子に。
ゲド戦記『影との戦い』
魔法で簡単に問題が片づかない、静かで骨太なファンタジーが好きな子に。才能ある少年ゲドが、おごりから呼び出してしまった影と向き合う旅に出ます。翻訳ものの古典で、言葉はやや硬めですが、中学生くらいから読みごたえを味わえます。
よくある質問
- Q. 何年生から読めますか?
- 1巻の『精霊の守り人』は330ページほどで、逃避行の緊張感があるので、長い物語に慣れた小学5年生くらいからひとりで読めます。巻が進むと国の政治や戦の話が増え、登場人物も地名もぐっと多くなるので、後半の『蒼路の旅人』や『天と地の守り人』は中学生くらいから読むと味わいやすいでしょう。大人が読んでも読みごたえのあるシリーズです。
- Q. 全部で何巻ですか?読む順番は?
- 本編は、バルサが主人公の「守り人」とチャグムが主人公の「旅人」をあわせた10冊で、『天と地の守り人』三部作で完結しています。二つの流れが交互に出ているので、偕成社の刊行順に読むのがいちばんです。そのあとに短編集2冊と外伝『風と行く者』があり、本編を読み終えてから手にとると、人物の過去や後日の姿が楽しめます。
- Q. 『精霊の守り人』1冊だけでも楽しめますか?
- 楽しめます。1巻はバルサとチャグムの逃避行がひとつの結末まで描かれていて、1冊で読み終えた満足感があります。2巻の『闇の守り人』はバルサの故郷カンバルが舞台の新しい話なので、1巻が気に入ったら続けて渡してください。チャグムのその後が気になる子には、4冊目の『虚空の旅人』が待っています。
- Q. アニメやドラマとのちがいは?
- 2007年のテレビアニメは1巻『精霊の守り人』だけを、オリジナルの場面を加えて全26話で描いています。2016年から2018年にかけて放送されたNHKのドラマは、シリーズの複数の巻を組みあわせて3シーズンで描き、2シーズン目からは話の組み立てを原作から大きく変えています。どちらも原作とはちがうところが多いので、映像で知った子にも原作は新鮮に読めます。