日本語のシリーズ
ぼくらシリーズ
作:宗田理
文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/17
「ぼくらシリーズ」は、宗田理が1985年の『ぼくらの七日間戦争』から書きついできた、中学生たちが主人公のエンターテインメント小説のシリーズです。1作目では、東京の下町の中学1年生の男子たちが、夏休みの始まりに河川敷の廃工場に立てこもり、校則でしばりつける先生や、話を聞こうとしない親たちに「解放区」をつくって宣戦布告します。菊地英治や相原徹をはじめとする仲間たちは、その後の作品でもくり返し登場し、学年が上がりながら新しい「作戦」にのりだしていきます。
このシリーズの魅力は、なんといっても大人をやりこめる痛快さです。子どもたちは暴力ではなく、知恵といたずらと団結で、ずるい大人や権力をふりかざす大人の鼻をあかします。一方で、作品には汚職や誘拐、いじめ、受験競争など、それぞれの時代の社会の問題がきちんと織りこまれています。笑って読めるのに、読み終えると「大人の言うことは本当に正しいのか」と考えさせられる。その二つの味わいが、長く読みつがれてきた理由でしょう。
作品ごとに舞台や事件は変わり、修学旅行や学園祭、無人島での冒険など、学校生活のイベントにあわせた話もたくさんあります。多くの作品は1冊で一つの事件が完結するので、気になるタイトルから手にとっても楽しめます。ただし仲間たちの顔ぶれや関係は作品をまたいで続いているため、1作目から読むと人物への愛着がぐっと深まります。
もとは角川文庫の一般向け文庫として出た作品で、1980〜90年代の中学生の生活が背景になっています。いまの子どもには見なれない道具や言葉も出てきますが、2009年からは角川つばさ文庫で、新しい挿絵とルビつきの版が出ていて、小学校高学年でも読みやすくなりました。いたずらの場面が中心で残酷な描写は少なめですが、犯罪や大人の不正をめぐる事件、ときにはこわい場面も出てきます。
読む順番のコツ
まずは1作目『ぼくらの七日間戦争』から。主要な仲間たちが勢ぞろいし、シリーズの雰囲気がいちばんよくわかります。そのあとは基本的に1冊ずつ話が完結するので、刊行順に進んでも、修学旅行や学園祭など興味のあるテーマから選んでも大丈夫です。角川文庫版と角川つばさ文庫版では、収録の順番や表記がちがう作品もあるので、そろえるときは同じ版で買うとわかりやすいです。
こんな子に
小学5年生〜中学生。学校や大人に「なんで?」と思うことがある子、仲間と力をあわせて何かをやりとげる話が好きな子、長い本に慣れていない子の読書のきっかけにも。
読む順番
角川文庫版の刊行順で、シリーズ40作以上のうち最初の10作(番外編をのぞく)。角川つばさ文庫版には、文庫版になかった新作(『ぼくらの学校戦争』など)も加わっています。
- 1

- 2
ぼくらの天使ゲーム
1作目の仲間たちが再び集まり、新しい「ゲーム」にのりだす2作目。
- 3
ぼくらの大冒険
- 4
ぼくらのデスマッチ 殺人狂がやって来た
シリーズのなかでもサスペンス色が強い作品。
- 5
ぼくらの危(ヤ)バイト作戦
- 6
ぼくらのC(クリーン)計画
- 7
ぼくらの修学旅行
- 8
ぼくらの㊙学園祭
- 9
ぼくらと七人の盗賊たち
- 10
ぼくらの秘島探険隊
当サイトで紹介している巻は、タイトルからあらすじ・対象の目安のページに移れます。ほかの巻も紹介してほしいときは本のリクエストへ。
読み終えたら、次の1冊
十五少年漂流記仲間だけで「解放区」を動かしていくところにわくわくした子に。無人島に流れ着いた15人の少年が、リーダーを選び規則を決めて2年間を生きぬく冒険の古典です。訳がやや硬く、後半は銃撃戦もあるので、中学生前後の一冊に。
- バッテリー(シリーズ)
大人の決めたことにだまって従わない主人公に共感した子に。中学入学をひかえた天才ピッチャーの巧が、キャッチャーの豪や家族とぶつかりながら進む全6巻です。いたずらの痛快さより心の動きを追う物語で、ぼくらシリーズから一歩、文学寄りに進めます。
君たちはどう生きるか「大人の言うことは本当に正しいのか」と考えはじめた子に。旧制中学2年生のコペル君と叔父さんのノートを通して、友情や勇気、社会のしくみを考える本です。痛快な事件はありませんが、ぼくらシリーズで芽生えた問いを自分のことばで深めたい中学生に。
よくある質問
- Q. 何年生から読めますか?
- 1作目の『ぼくらの七日間戦争』は文庫で380ページほどあり、ひとり読みは小学5年生〜中学生が目安です。小学生なら、挿絵とふりがなのついた角川つばさ文庫版が読みやすいでしょう。登場人物が中学生なので、中学校の生活を想像できるようになった高学年から、いちばん楽しめます。
- Q. 全部で何巻?どこまでが中学生の話?
- 版によって数え方がちがいます。角川文庫では『ぼくらの七日間戦争』から『ぼくらの最終戦争』までの11作が中学生編で、そのあと高校生編、さらに大人になってからの話へと続き、番外編を合わせると40作をこえます。角川つばさ文庫では順番が組みかえられ、文庫になかった新作も加わって、いまも新しい巻が出ています。
- Q. 角川文庫とつばさ文庫、どちらを選べばいい?
- 小学生には、新しい挿絵がつき、漢字にふりがなのある角川つばさ文庫版がおすすめです。中学生以上なら、もとの角川文庫版でも問題なく読めます。2つの版では巻の順番や収録作がちがうところがあるので、続けて買うときは同じ版でそろえると、どれを読んだかわかりやすくなります。
- Q. 大人向けの内容やこわい場面はありますか?
- いたずらで大人をやりこめる場面が中心ですが、1作目から誘拐事件が起き、2作目の『ぼくらの天使ゲーム』では先輩の妊娠と死や、暴力団による地上げが描かれます。題名に殺人狂とある『ぼくらのデスマッチ』はサスペンス色が強めです。残酷な描写は多くありませんが、高学年でも気になる場合は、親が先に目を通しておくと安心です。
- Q. アニメ映画『ぼくらの7日間戦争』と原作は同じ話?
- 2019年のアニメ映画は、現代を舞台に新しい登場人物たちが立てこもる別の物語で、原作の話をそのまま映像にしたものではありません。1988年の実写映画は原作をもとにしています。アニメ映画から入った子には、原作で英治や相原たちの「解放区」を読むと、ちがいと共通点の両方を楽しめます。