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読書の悩み

死・戦争・こわい場面を描いた本と子どもの付き合い方

文:ブックリンカー編集部 / 公開:2026/09/28

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子どもに渡そうとした本の中に、登場人物の死や戦争、こわい場面があるとわかって、手渡すのをためらった経験はないでしょうか。「まだ早いかもしれない」「夜ねむれなくなったらどうしよう」と心配になるのは、ごく自然なことです。

一方で、長く読みつがれてきた児童書には、悲しみやこわさを正面から描いた作品がたくさんあります。物語の中で安全に悲しみやこわさを体験することは、子どもにとって大切な経験にもなりえます。この記事では、ブックリンカー編集部が、そうした本を避けるのでも無理に読ませるのでもなく、上手につきあうための考え方をまとめました。

避けるより「一緒に出会う」準備を

悲しい本やこわい本を完全に避けようとすると、名作と呼ばれる本の多くを手放すことになります。子どもは友だちとの会話や学校の授業、ニュースを通して、いずれ死や戦争といった話題に出会います。物語はそれを、登場人物の気持ちに寄りそいながら、ページを閉じればいつでも立ち止まれる形で体験させてくれます。

大切なのは、子どもがひとりで衝撃を抱えこまないようにすることです。親が内容をある程度知っておき、必要なら一緒に読み、読んだあとに話せる場をつくる。この3つがそろっていれば、重いテーマの本も、子どもの心を育てる読書になります。

年齢別の配慮の目安

同じ年齢でも感じ方には大きな個人差があるので、以下はあくまで目安です。その子がこれまでどんな本やアニメでこわがったか、身近に最近つらい出来事があったか、といった事情のほうが、年齢よりも判断の材料になります。

  • 未就学〜小学校低学年:大人がそばにいる読み聞かせが基本。こわい場面は「最後はどうなるかな」と声をかけながら、安心できる結末まで一緒に読む
  • 小学校中学年:ひとり読みが増える時期。悲しい結末があると事前に知らせておくと、心の準備ができる
  • 小学校高学年〜中学生:死や戦争を考えるテーマの本にも向きあえる時期。読後に感想を押しつけず、話したいときに聞く姿勢で

小さな子と読む、こわい・悲しい絵本

『おしいれのぼうけん』は、暗いおしいれの中でねずみばあさんに追いかけられる、スリルたっぷりの長めの絵本です。暗やみやねずみばあさんの絵は迫力があり、こわがる子もいます。ただ、けんかしていたふたりが手をつないで逃げきり、最後はすっかり仲よしになる安心できる結末なので、2〜3回に分けてでも最後まで読んであげると、「こわかったけど楽しかった」という経験になります。

『100万回生きたねこ』は、何度生まれかわっても平気だったねこが、白いねこを愛し、その死に初めて泣き、自分ももう生きかえらなくなるという、とても切ない結末の絵本です。小さな子に「どうしてねこは生きかえらなかったの?」と聞かれたとき、急いで正解を説明する必要はありません。「どう思った?」と、感じたことをそのまま聞いてあげてください。

中学年〜高学年で出会う、死と別れの物語

『シャーロットのおくりもの(Charlotte's Web)』は、子ブタのウィルバーを救うために巣に文字を編んだクモのシャーロットが、品評会のあとで静かに命を終える物語です。シャーロットの死は穏やかに描かれ、春には子グモたちが生まれて命がつながっていきます。悲しいけれど救いのある結末なので、死を描いた長い物語の最初の1冊にも向いています。

『テラビシアにかける橋(Bridge to Terabithia)』は、親友レスリーの突然の事故死が描かれ、主人公ジェスの怒りや自分を責める気持ちが深く続きます。当サイトの読み方ヒントでも、事前にそのことを伝えるか、読後に話す時間をとることをすすめています。『夏の庭』は、死に好奇心を持った小学6年生の三人がおじいさんと友だちになり、夏の終わりにその死に立ち会う物語です。戦争で人を殺した告白の場面もあり、ひとり読みは5・6年生からが目安です。

戦争や差別を描いた本

『ふたりの星(Number the Stars)』は、1943年のナチス占領下のデンマークで、ユダヤ人の親友エレンを守ろうとする少女アンネマリーの物語です。迫害や身近な人の死が描かれますが、残酷な場面は控えめで、巻末には作者が史実との関係を説明しています。歴史を学びはじめた高学年の子と、第二次世界大戦について話すきっかけにしやすい一冊です。

戦争を直接描かなくても、その影が物語に出てくる本もあります。『車のいろは空のいろ 白いぼうし』に収められた「すずかけ通り三丁目」は、戦争で子どもを亡くした女性のおはなしで、少し悲しい場面があります。低学年から読める短いお話なので、「昔、こういうことがあったんだよ」と話す入口にもなります。

親が事前に内容を知る方法

心配な本は、渡す前に親が内容を知っておくと安心です。とはいえ、忙しい中で1冊丸ごと先に読むのは大変です。当サイトの本のページには、ネタバレなしのあらすじとは別に、結末まで書いた「ネタバレありのあらすじ」を載せています。子どもには見せず、親だけが結末を確認するための使い方をしていただけます。

たとえば『西の魔女が死んだ』は、タイトルから祖母の死が描かれることはわかりますが、その前にまいとおばあちゃんのあいだにわだかまりが残ること、そして最後におばあちゃんが約束どおりのメッセージを残していることまでは、読まないとわかりません。結末に救いがあるかどうかを知っているだけで、子どもがつらそうにしていても「最後まで読むと、きっと気持ちが変わるよ」と声をかけられます。

  • ネタバレありのあらすじで、どんな場面があるか、結末に救いがあるかを確認する
  • 本のページの読み方ヒントで、注意が必要な場面や目安の学年を見る
  • 迷ったら、最初の数章だけ一緒に読んで子どもの反応を見る

読んだあとのフォロー

悲しい本を読み終えた子どもが黙りこんでいても、無理に感想を聞き出す必要はありません。「最後、どうだった?」と一言だけ聞き、話したがらなければそのままにしておきましょう。数日たってから、ふと本の話をしてくることもよくあります。そのときにしっかり耳を傾けることのほうが大切です。

こわい場面が頭から離れず眠れなくなった場合は、明るい時間に続きを一緒に読んで、話がどう落ち着くのかを確かめると安心できることがあります。また、実際に身近な人やペットを亡くしたばかりの子には、死を描いた本は時期をずらす、あるいは親がそばで読むなど、特に慎重にしてください。本は子どもに寄りそう道具であって、つらさを無理に思い出させるためのものではありません。

よくある質問

Q. 子どもが悲しい本を読んで泣いてしまいました。やめさせたほうがいいですか?
A. 物語に心を動かされて泣くのは、登場人物の気持ちを深く受けとめた証でもあります。泣いたあとに落ちついているなら、見守って大丈夫です。つらさが長く続くようなら、いったん本を閉じて、話を聞いてあげてください。
Q. こわい本ばかり読みたがるのは心配ですか?
A. 『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』のように、ぞくっとする話を好む子は珍しくありません。夜にうなされるなど生活に影響が出ていなければ、好みとして見守ってよいでしょう。
Q. 戦争の本は何年生から読ませるとよいですか?
A. 描かれ方によって大きくちがうので、学年だけで決めるのは難しいところです。当サイトの本のページにある学年の目安と、ネタバレありのあらすじをあわせて見て、その子に合うかどうかを判断してください。

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