日本語のシリーズ
魔女の宅急便
Kiki's Delivery Service
全6巻(完結) 本編の完結後に出た特別編3冊(『キキに出会った人びと』『キキとジジ』『ケケと半分魔女』)は数に入れていません
作:角野栄子
文:ブックリンカー編集部 / 更新日:2026/10/17
『魔女の宅急便』は、角野栄子が1985年に第1巻を発表し、2009年の第6巻で完結させた長編シリーズです。魔女の女の子は13歳になると家を出て、魔女のいない町でひとりで暮らさなければならない。そのしきたりにしたがって旅立ったキキが、海の見える町コリコで、空を飛んで荷物を届ける「お届け屋さん」を始めるところから物語は始まります。1989年の宮崎駿監督のアニメ映画で知っている人も多いでしょうが、映画は1巻をもとにしながらエピソードも結末も大きく変えていて、原作はさらに何倍もの時間をかけてキキを追いかけています。
このシリーズの大きな特徴は、キキが巻ごとに1〜2歳ずつ年をとっていくことです。1巻で13歳だったキキは、2巻で14歳、3巻で16歳、4巻で17歳、5巻で19歳と成長し、6巻では大人になったキキの姿が描かれます。読者は、ひとりの女の子が少女から大人になるまでの長い時間を、町の人たちや黒猫のジジと一緒に見守ることになります。
巻が進むにつれ、悩みの中身も変わっていきます。1巻は知らない町でお客さんを見つけ、居場所をつくるまでの話。2巻以降は、魔女として生きていくことそのものへの迷い、年下の魔女との出会い、とんぼさんへの恋心、魔法の力の揺らぎなど、思春期から青年期にかけての誰もが通る心の問題が、お届けものの話と重なりながら描かれます。魔法は空を飛ぶことくらいしかできないからこそ、キキの悩みはとても身近です。
こわい場面や暴力的な場面はほとんどなく、安心して手渡せるシリーズです。ただ、4巻以降は恋愛の気持ちが物語の中心の一つになり、5巻・6巻は大人の暮らしに近い話になります。中学年で1巻を楽しんだ子が、そのまま最後まで読むというより、自分の年齢に合わせて少しずつ続きを読んでいくと、キキの気持ちがいちばん身近に感じられるはずです。
読む順番のコツ
1巻から順番に読みましょう。キキが1巻ごとに年をとり、町の人たちとの関係も積みかさなっていくので、飛ばすと変化がわかりにくくなります。各巻は章ごとに一つのお届けものの話になっていて、少しずつ読み進められます。1巻は小学3・4年生から、2・3巻は高学年、恋愛が中心になる4巻以降は高学年〜中学生くらいで読むと、キキと気持ちが重なりやすいでしょう。
こんな子に
1巻は小学3年生くらいから、シリーズを通しては中学生まで。新しい環境に飛びこむ子、映画でキキを好きになった子、成長していく主人公に長くつきあいたい子に。
読む順番
福音館書店の単行本の刊行順(全6巻)。本編完結後に『特別編 キキに出会った人びと』などの特別編が出ています。角川文庫版もあり、巻の順番は同じです。
- 1

- 2

- 3
魔女の宅急便 その3 キキともうひとりの魔女
16歳。キキのもとに、年下のふしぎな女の子がやってくる。
- 4
魔女の宅急便 その4 キキの恋
17歳。とんぼさんへの気持ちが物語の中心になる。
- 5
魔女の宅急便 その5 魔法のとまり木
19歳。仕事や魔法、大切な人との関係に悩む。
- 6
魔女の宅急便 その6 それぞれの旅立ち
本編の完結巻。大人になったキキの姿が描かれる。
当サイトで紹介している巻は、タイトルからあらすじ・対象の目安のページに移れます。ほかの巻も紹介してほしいときは本のリクエストへ。
読み終えたら、次の1冊
霧のむこうのふしぎな町ひとりで知らない町へ行き、ちょっと変わった町の人たちの中で働きながら居場所を見つけていく話が好きな子に。小学6年生のリナが、霧の谷の町でひと夏を過ごします。190ページほどで、1巻を読み終えた中学年の次の1冊にちょうどよい長さです。
西の魔女が死んだ魔女の修行と、自分で決めて生きることにひかれた子に。学校に行けなくなった中学生のまいが、魔女だというおばあちゃんのもとで暮らしながら心を立て直していきます。言葉は平易ですが、生と死を静かに描くので、高学年〜中学生向けです。
かがみの孤城居場所をさがす女の子の心の動きに寄りそって読んだ子に。学校に行けなくなった中学1年生のこころが、鏡の向こうの城で6人の仲間と出会います。550ページの長編ですが、謎ときの引きが強く、高学年〜中学生で一気に読めます。
よくある質問
- Q. 映画の『魔女の宅急便』とどうちがいますか?
- 1989年のアニメ映画は1巻をもとにしていますが、クライマックスの飛行船の事件など、映画だけの場面が多くあります。原作の1巻は、ひとつひとつのお届けものの話を重ねながら、キキが町の人に受け入れられていく1年間を描きます。とんぼさんとの関係や、キキがおとなになっていく姿は、2巻以降でじっくり読めます。
- Q. 何年生から読めますか?全巻読ませてもいい?
- 1巻は260ページほどで、1章ごとに一つのお届けものの話になっているので、小学3年生ごろからひとりで読めます。キキが巻ごとに年をとるため、2・3巻は高学年、とんぼさんへの恋心が中心になる4巻以降は高学年〜中学生くらいが合います。こわい場面はほとんどなく、内容の心配は少ないので、子どもの年齢に合わせて少しずつ渡すのがおすすめです。
- Q. 全部で何巻ですか?特別編はいつ読めばいい?
- 本編は1985年の1巻から2009年の6巻『それぞれの旅立ち』までの全6巻で完結しています。そのあとに特別編が3冊出ていて、3巻に登場した年下の魔女ケケが主人公の『ケケと半分魔女』など、本編の登場人物のその後やもうひとつの物語が描かれます。どれも本編を読み終えてから読むと楽しめます。