本を読まない子への声かけと環境づくり|興味から入るコツ
文:ブックリンカー編集部 / 公開:2026/09/28
X でシェア「うちの子、ぜんぜん本を読まないんです」という悩みは、とてもよく聞きます。本を読んでほしいと思うほど、つい「本を読みなさい」と言いたくなりますが、言えば言うほど本が遠ざかってしまうこともあります。
この記事では、本を読まない理由の見分け方から、やってしまいがちな声かけ、興味から入る本の選び方、家の中の環境づくりまでを、ブックリンカー編集部の視点でまとめました。どれも今日から試せる小さな工夫です。全部をやる必要はないので、合いそうなものから取り入れてみてください。
まず「読まない理由」を見分ける
ひとくちに「本を読まない」と言っても、理由は子どもによってちがいます。理由がちがえば、効く手立ても変わります。まずは、次のどれに近いかを数日ほど様子を見て考えてみてください。
たとえば、字を追うこと自体がまだ大変な子に、面白い長編を渡しても解決しません。反対に、読む力は十分なのに「面白そうな本に出会っていない」だけの子には、量をしぼるより、興味に合う本を見つけることが先です。理由がいくつか重なっていることも多いので、いちばん大きそうなものから手をつけましょう。
- 字を読むのに疲れる:1ページの字が多い本を見ただけで閉じてしまう
- 内容に興味が持てない:家にある本が、いまの関心とずれている
- 時間がない:習いごとや宿題、ゲームや動画で、本を開くすきまがない
- 本の長さが合っていない:途中で投げ出した本が何冊もある
- 「読書=勉強」と感じている:本をすすめられるとお説教のように受けとる
やってしまいがちなNG声かけ
親としては良かれと思っての一言でも、子どもにとっては読書をいやなものにしてしまうことがあります。次のような声かけに心当たりがあったら、言いかえを試してみてください。
大切なのは、本を「やらなければいけないこと」ではなく、「やってみたら楽しかったこと」にすることです。読んだ量や冊数ではなく、子どもが面白がっている様子そのものに目を向けると、声かけも自然と変わってきます。
- 「本を読みなさい」→「この本、表紙がおもしろそうだったから借りてきたよ」
- 「お兄ちゃんはもっと読んでたよ」→ きょうだいや友だちと比べない
- 「マンガじゃなくて本を読みなさい」→ 絵の多い本も立派な読書として認める
- 「どうだった?感想は?」を毎回聞く→「どこがいちばん笑えた?」と一つだけ聞く
- 「最後まで読みなさい」→ 合わない本は途中でやめてもいいと伝える
好きなことから入る:図鑑や知識の本も読書のうち
物語に興味がない子でも、恐竜や虫、乗りもの、スポーツなど、好きなものについてなら何時間でも話せることがあります。その「好き」は、本への入り口になります。図鑑や知識の本を眺めることも、立派な読書です。写真や絵を見ながら説明を拾い読みするうちに、字を読むことへの抵抗が少しずつ薄れていきます。
好きなものと物語がつながっている本も探してみましょう。英語の本ですが、『Dinosaurs Before Dark』は、きょうだいが恐竜の時代へ行く冒険で、恐竜好きの子の関心をそのまま物語につなげられます。日本語版もあります。当サイトでは、動物・のりもの・科学・スポーツ・食べものなどのタグで本をしぼりこめるので、子どもの「好き」から探してみてください。
食べものが好きな子なら、『からすのパンやさん』の見開きいっぱいのパンや、『ぐりとぐら』の大きなたまごの料理は、それだけで本を開く理由になります。野球をしている子には『バッテリー』のように、自分の経験と重なる本が響くことがあります。
絵の多い本・マンガ的な本で「読めた」を積み重ねる
文字ばかりのページが苦手な子には、絵がたっぷり入った本が強い味方です。『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』は、ページのあちこちにだじゃれや絵さがし、迷路があり、読むのが苦手な子でも最後まで楽しめます。『おしりたんてい』は絵さがしや迷路をときながら進む参加型の推理絵本で、本が苦手な子の入り口として人気です。
英語の本にも、まんが形式の本があります。『Dog Man』はせりふが短く、絵で話を追えるので、長い英文が苦手な子の多読の入門として人気です。『Diary of a Wimpy Kid』は全ページにマンガがあり、日本語版『グレッグのダメ日記』で先に楽しむこともできます。同じ作者の『The Adventures of Captain Underpants』も、会話やまんがのページが多く読みやすい部類です。どれもトイレ系のギャグやずるい主人公が笑いどころなので、そこが合うかどうかは子どもの好みしだいです。
「こういう本ばかりでいいの?」と心配になるかもしれませんが、まずは「一冊読み切れた」という手ごたえを重ねることが先です。読む体力がついてくると、子どもは自分から次の本へ手をのばすようになります。
シリーズもの・短編集で「続きが読みたい」をつくる
気に入ったシリーズに出会うと、子どもは驚くほど読むようになることがあります。登場人物や世界がわかっているので、2冊目からは読みはじめの負担が小さく、「次はどうなるんだろう」という気持ちが自然に次の巻へ連れていってくれます。
『かいけつゾロリ』シリーズは70巻以上あり、どこから読んでも楽しめます。『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』は1話20〜25ページほどの短編で、読書が苦手な子でも1話ずつ読み切れ、シリーズも20巻以上続いています。少し長い本に進むなら、1章ごとにひとつの「お届けもの」の話になっている『魔女の宅急便』のように、章が区切れていて、しかも続きのある本がおすすめです。
シリーズを買いそろえる前に、まず1冊目を図書館で借りてみるのもよい方法です。気に入ったら続きを探しに行く、という流れそのものが、本を楽しむ習慣になっていきます。
家の中の環境づくり
本を読むかどうかは、本が「目に入る場所にあるか」「手に取れる時間があるか」にも左右されます。本棚の奥にしまいこむより、表紙が見えるように置くだけで、手に取られる回数が変わることがあります。
寝る前の10分や、休日の朝など、「本を読む時間」をゆるく決めておくのも効果的です。その時間はテレビや動画を消して、家族みんなが好きなものを読む、くらいの軽いルールで十分です。
- リビングやトイレなど、子どもがよくいる場所に数冊だけ表紙を見せて置く
- 置く本はときどき入れかえ、「新しい本が来た」と気づけるようにする
- 図書館や書店には、子どもが自分で本を選ぶ時間をとって一緒に行く
- 寝る前の読み聞かせは、小学生になっても続けてかまわない
親が読む姿を見せる
子どもは、親に言われたことより、親がしていることをまねします。親がスマートフォンを見ている時間の一部を本に替えてみるだけでも、「本を読むのはふつうのこと」という空気が家の中に生まれます。読むのは子どもの本でなくてかまいません。
もうひとつのおすすめは、子どもと同じ本を親も読んでみることです。『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』のような短編なら、親子で同じ話を読んで「あのお客さん、どうなると思った?」と話せます。親が本気で面白がっている姿は、どんな声かけよりも子どもに伝わります。
よくある質問
- Q. マンガばかり読んでいます。本も読んでほしいのですが。
- A. マンガを楽しめるのは、絵とことばから物語を読みとる力がある証拠です。無理にやめさせるより、『かいけつゾロリ』のような絵の多い読みものや、『Diary of a Wimpy Kid』のようにマンガの入った本を間に置くと、少しずつ文字の多い本へ橋渡しができます。
- Q. 途中で読むのをやめた本は、最後まで読ませたほうがいいですか?
- A. 無理に最後まで読ませる必要はありません。長さや内容がいまの子どもに合っていなかっただけのこともあります。しばらくして読み返すと面白く感じることもあるので、本棚に残しておき、別の本に切りかえてみてください。
- Q. 読み聞かせはいつまで続けていいですか?
- A. 子どもが楽しんでいるうちは、何歳まででも続けてかまいません。ひとりで読めるようになってからも、読み聞かせで少し長い物語を一緒に楽しむと、ひとり読みの本の幅も広がりやすくなります。










